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第8話
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翌日――私が住んでいる屋敷に、村長と3人の冒険者がやって来る。
大地の主を倒してくれる冒険者は3人のようで、村長が紹介してくれた。
2人組で行動している男女の人達と、その隣に鋭い目つきをした美少年が私に頭を下げる。
私とリオウは、冒険者達とテーブル越しで対面していた。
隣の椅子に座る村長が私の回復魔法とリオウの強さを話していると……2人組の冒険者が、私に対して話す。
「回復魔法を使えるアミリアさんは同行して欲しいと思っています。ですが、その小犬は来ない方がいいでしょう」
「ああ。戦力にならないだろうからな……今までとは、敵の強さが違うんだ」
2人組の冒険者は、リオウの身を案じていた。
彼等よりも明らかにリオウの方が強いけど、私の発言に納得してくれるとは思えない。
そう考えていると……隣にいる美少年、ジークと村長に紹介された冒険者が話す。
「見た目で判断するな。アミリアさんが抱えている小犬は、俺と同等の強さがありそうだ」
ジークの発言を聞いて、2人は唖然としている。
信じられないのか、2人組の男の冒険者は立ち上がって叫ぶ。
「ジークさんと同等!? それだと冒険者ギルドでもトップクラスになりますよ!?」
「ありえません……ジークさんでも、冗談を言うのですね」
2人の発言を聞いて、ジークが無表情で尋ねる。
「俺が、冗談を言ったと思ったのか?」
「い、いえ……侮って申し訳ありませんでした」
強い口調でジークが尋ねると、冒険者の男女は明らかに怯えてリオウに謝罪する。
冒険者ギルドでも立場が上の人だと村長がジークの説明をしていたけど……ジークは、分身とはいえ今のリオウより強い気がしていた。
その後――2人組の冒険者は村と周辺を見学すると言って、屋敷から去っていく。
今日は周辺の調査をして、明日から大地の主を倒すために動くようだ。
村長も2人組の冒険者の後を追って、屋敷に残っているジークが呟く。
「俺はまた対応を間違えたようだ……冗談だと言えば、いや冗談ではないのだが……」
ジークは赤く短い髪に鋭い目つきをした、美青年に見える長身の美少年だ。
村長からジークの年齢が16歳と聞いて驚いてしまうほどの風格と、膨大な魔力を宿している。
そんな大人びた美少年のジークだけど、村長との会話の最中にリオウを何度も眺めていたのが気になってしまう。
「あの、ジークさん。大丈夫ですか?」
私はジークさんに声をかけると、無表情で私とリオウを眺めていた。
リオウの強さが気になるのかと思っていると、ジークが私達に話す。
「大丈夫だ……アミリアさん、その小犬は凄いな」
「リオウと言います」
「リオウか。この国で有名な聖獣から名前をとったようだな……その、撫でてもいいだろうか?」
どうやらジークは聖獣について知っているようで、少し警戒してしまう。
「……どうぞ」
それでも撫でることを拒否するのは不自然だから、私は頷く。
そして――私は、少し反省することとなっていた。
「ありがとう――これだけで、この村に来てよかったと思えるほどだ」
そう言って微笑みを浮かべながら、嬉しそうにリオウの全身をジークが撫でる。
今の強そうな雰囲気が一変して、ジークは穏やかで優しい表情を浮かべていた。
会話の時に何度もリオウを眺めていたのが気になっていたけど……ジークはただ、リオウを撫でたかっただけのようだ。
大地の主を倒してくれる冒険者は3人のようで、村長が紹介してくれた。
2人組で行動している男女の人達と、その隣に鋭い目つきをした美少年が私に頭を下げる。
私とリオウは、冒険者達とテーブル越しで対面していた。
隣の椅子に座る村長が私の回復魔法とリオウの強さを話していると……2人組の冒険者が、私に対して話す。
「回復魔法を使えるアミリアさんは同行して欲しいと思っています。ですが、その小犬は来ない方がいいでしょう」
「ああ。戦力にならないだろうからな……今までとは、敵の強さが違うんだ」
2人組の冒険者は、リオウの身を案じていた。
彼等よりも明らかにリオウの方が強いけど、私の発言に納得してくれるとは思えない。
そう考えていると……隣にいる美少年、ジークと村長に紹介された冒険者が話す。
「見た目で判断するな。アミリアさんが抱えている小犬は、俺と同等の強さがありそうだ」
ジークの発言を聞いて、2人は唖然としている。
信じられないのか、2人組の男の冒険者は立ち上がって叫ぶ。
「ジークさんと同等!? それだと冒険者ギルドでもトップクラスになりますよ!?」
「ありえません……ジークさんでも、冗談を言うのですね」
2人の発言を聞いて、ジークが無表情で尋ねる。
「俺が、冗談を言ったと思ったのか?」
「い、いえ……侮って申し訳ありませんでした」
強い口調でジークが尋ねると、冒険者の男女は明らかに怯えてリオウに謝罪する。
冒険者ギルドでも立場が上の人だと村長がジークの説明をしていたけど……ジークは、分身とはいえ今のリオウより強い気がしていた。
その後――2人組の冒険者は村と周辺を見学すると言って、屋敷から去っていく。
今日は周辺の調査をして、明日から大地の主を倒すために動くようだ。
村長も2人組の冒険者の後を追って、屋敷に残っているジークが呟く。
「俺はまた対応を間違えたようだ……冗談だと言えば、いや冗談ではないのだが……」
ジークは赤く短い髪に鋭い目つきをした、美青年に見える長身の美少年だ。
村長からジークの年齢が16歳と聞いて驚いてしまうほどの風格と、膨大な魔力を宿している。
そんな大人びた美少年のジークだけど、村長との会話の最中にリオウを何度も眺めていたのが気になってしまう。
「あの、ジークさん。大丈夫ですか?」
私はジークさんに声をかけると、無表情で私とリオウを眺めていた。
リオウの強さが気になるのかと思っていると、ジークが私達に話す。
「大丈夫だ……アミリアさん、その小犬は凄いな」
「リオウと言います」
「リオウか。この国で有名な聖獣から名前をとったようだな……その、撫でてもいいだろうか?」
どうやらジークは聖獣について知っているようで、少し警戒してしまう。
「……どうぞ」
それでも撫でることを拒否するのは不自然だから、私は頷く。
そして――私は、少し反省することとなっていた。
「ありがとう――これだけで、この村に来てよかったと思えるほどだ」
そう言って微笑みを浮かべながら、嬉しそうにリオウの全身をジークが撫でる。
今の強そうな雰囲気が一変して、ジークは穏やかで優しい表情を浮かべていた。
会話の時に何度もリオウを眺めていたのが気になっていたけど……ジークはただ、リオウを撫でたかっただけのようだ。
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