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第13話

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 シェムはこれから、魔法が使えなくなるかもしれない。
 他国の聖女が全て説明して、シェムは呆然としていた。

 これから私は聖女として、会場の人達に挨拶する。
 前からカインと話し合って話す内容は決めていたし、何も問題ないはずだ。
 そんなことを考えていると――周囲が、騒がしくなっていた。

「……ルグド殿下が、倒れましたか」

 王子達がいた場所が騒ぎになっていて、倒れているルグドの姿が見える。
 シェムが聖女でなかったから、ショックを受けて意識を失ったようだ。
 大地の魔力を得ていたことが判明したことで、限界を迎えたのかもしれない。
 倒れているルグドに会場中が注目していると、シェムが叫ぶ。

「貴方は聖女ではありません!」

 シェムは杖を構えて、他国の聖女に向かって魔法を繰り出そうとしていた。
 聖女の力なら問題ないと思うけど、私は反射的に動き魔法で防いでいる。
 魔法を防がれたシェムは、私を睨んで叫んだ。

「アイラ様! 邪魔をしないでください!!」

「シェム様、今の行動は重罪ですよ」

「冷静な辺り、アイラ様はその悪女と取引をしたに決まっています! 本来は聖女を陛下が決めていたのに、アイラ様を聖女とそこの人が勝手に決めたのでしょう!」

 シェムの発言は無茶苦茶で、他国の聖女を悪女と言い放つ。
 魔法道具で会場中に声が響いている中で、国王も魔法道具を使い話す。

「シェムは何を言っている!? 時期が来たら聖女が決まり、聖女様はそれを教えてくださるだけだ!!」

 そして儀式の日に、聖女の魔法を受けることで世界から加護を得て正式に聖女と決まるようだ。
 聖女候補の力が拮抗していると儀式の直前までわからないようだけど、今回は私以外の聖女候補に素質がなかった。
 国王の話を聞いても、シェムは納得せずに叫ぶ。

「このままだと私は聖女の補佐になれません! 聖女になるしかないでしょう!!」

「補佐はいなくても問題ありませんし、シェム様は聖女になれません」

 シェムが叫ぶけど、他国の聖女は冷静に話す。
 補佐がいなくてもカインが護衛として私の傍にいてくれるから、問題はないようだ。
 私としても、シェムに補佐されるのは嫌たからよかったと思っている。

「うっっ……そ、それなら――」

「――いい加減にしろ! 貴様の発言は不快でしかない! 今すぐに追い出せ!!」

 諦めずシェムは自分が聖女になるべきと話そうとしたけど、国王が激怒して叫ぶ。
 王子の婚約者が恥を晒して、諦めようとはしない。
 発言で王家の評判が落ちることを危惧して、国王は護衛に命令してシェムを連行した。

 取り乱したシェムは、会場の外に追い出されている。
 その後は問題なく進行して――儀式が終わり、私は聖女になっていた。
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