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第13話

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バハムス視点

 時間は遡り――明日の夜会で、俺はルーミエとの婚約を破棄しようと決意していた。

 部屋で1人になった俺は、明日について思案しつつ叫ぶ。

「ルーミエは醜すぎる。家族の許可も得たし、夜会で奴の縁を切ってやる!!」

 婚約者になった時のルーミエの見た目は細過ぎて、弱々しく見ていられなかった。

 もし俺と衝突して骨でも折れたりすれば――ルーミエが弱いのが原因なのに、俺が悪いことになってしまう。

 そんな起きてもいない未来を想像して苛立ち、俺はルーミエに命令していた。

「お前の見た目は弱々しくて俺の婚約者に相応しくない。なんとかしろとは言ったが……あんな見た目になるか!?」

 婚約が決まったばかりの出来事を思い返すと、俺は叫ばずにいられない。

 なんとかしろと言ったのに見た目は変わらず、苛立って暴言を吐いていると――ある日、突然ルーミエは太りだしていた。

 更に年月が経つと太っていく姿に、俺は恐怖するしかない。

 ルーミエは明らかに異質だったが……命令したのは俺だから何も言えず、不安になっていた。

「あんな見た目の婚約者など、俺の評判が落ちるに決まっている!」

 今のルーミエは衝突しても、衝突した相手を弾き飛ばしそうな肉体をしていた。

 学園生活を送っているとルーミエは注目されて、婚約者の俺も注目されてしまう。

 我慢の限界がきた俺は、ルーミエとの婚約を破棄するため行動する。

 その結果、後悔することになるなんて――この時の俺は、想定することができなかった。
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