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第1話

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「ルーミエ、お前の見た目は弱々しくて俺の婚約者に相応しくない。なんとかしろ!」

 侯爵令嬢の私ルーミエ・ナーリサの元にやって来た婚約者バハムスが、そんなことを言い出す。

 バハムスとの婚約が決まった翌日の出来事で――これは婚約者になったバハムス最初の発言だ。

 その後、私はバハムスから見た目についての文句を散々言われてしまう。

 公爵家の令息だからか、バハムスは明らかに私を見下していた。

 親が決めた婚約で、弱々しく見える私はバハムスの好みではなかったようだ。

 そして――私は婚約者の為に、変わることを決意した。

 とにかく食事をとろうと考えて行動した結果苦しくなってしまい、私は別の方法をとることにする。

 魔法でなんとかできないか考えて、私は必死に見た目を変えようと尽力していた。

 その結果――私は、自らを太らせる魔法を作成することに成功する。

 肉体を強化する魔法の応用で、魔力による体型の変化だ。

 別人のように変化することはできず、ただ太る程度だから――使えない魔法として、誰も伝えようとしなかっただけかもしれない。

 それでも私にとってこの魔法は、バハムスに相応しい婚約者になるために必要だった。

 体型変化の魔法を常に使うことで、魔力は半分程度しか扱えず魔法学園の成績は標準程度になってしまう。

 魔法を使っていない状況なら成績上位を狙えそうだけど、私は太っている状態を維持することに専念していた。

 体型変化の魔法は体内の魔力が増えると効力が増すようで、私は徐々に太っていく。

 私が独自に作成した魔法が知られれば、目立ってしまう。

 魔法学園を卒業するまでは隠し通して、その後バハムスに真相を話せばいい。
 そう考えていたけど――婚約者になって数年後、私は婚約破棄を言い渡されてしまう。
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