婚約者から妾になれと言われた私は、婚約を破棄することにしました

天宮有

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第11話

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アシェル視点

 計画の準備は順調に進み、パーティの日となっている。
 台本通りになれば、何も問題ないと俺は確信していた。

 エミリーをパーティの中央に向かわせ、俺とキアラが迫る。
 一番目立ちてそうな場所で対面して、俺とキアラはエミリーを糾弾した。

「エミリーは今まで、キアラを虐げていた! 婚約者として嘆かわしいことだ!」

「アシェル殿下の仰る通りです……私は今までエミリー様に逆らうことができませんでしたけど、アシェル殿下がこの場で話すべきだと提案してくれました!」

「目撃者もいる! エミリーは観念して自らの罪を認めろ!!」

 待機させていた2人に、エミリーがキアラを虐げていたと嘘の報告をさせる。
 今まで俺の傍でいい思いをさせていた者は何人もいて、何かあれば利用するために用意していた。

 これで後はエミリーが罪を認めて、罰として妾となればいい。
 完璧だと思っていたのに――俺は、エミリーの行動に驚愕することとなる。

「罪を認めろと言いましたけど――私は、キアラ様を虐げたことはありません」

「なっっ!? エミリーは何を言っている!? 目撃者もいるんだぞ!!」

「その目撃者は、アシェル殿下と親しい2人ではありませんか。証拠はあるのですか?」

「そ、それは……」

 俺はエミリーが罪を認めて終わると思っていたから、証拠を用意していなかった。

 罪を認めた後は証言だけで納得すると思っていたのに、エミリーが予定と違う行動をとっている。
 そして――俺は、エミリーから婚約破棄を言い渡されていた。
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