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第60話

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バルター視点

 俺はマクスウェルから、最終計画を詳しく聞いた。

 人数が多いと察知されてロランがやって来る可能性があり、なにより戦力は全てロランに割きたかった。

「シエルの支配に戦力を注げばロランを足止めする戦力が減ります。それはリスクがあまりにも高すぎる」

 仮面兵士の強さは、今日の戦闘で確認済みだ。
 移動魔法が使えなくなり、数秒足止めできる……大人数でロランを攻めて、数十秒程度足止めする。

 その数十秒でシエルを支配すれば、俺達の勝利だ。

「同じ仮面の力を持つ者バルター様とダリア……そして私なら、ロランがやって来るまでにシエルを捕獲できるでしょう」

 シエルの力は、仮面で強くなっている。
 それでも同じように仮面で強化した俺とダリア、更にはマクスウェルもいるから……どうしようもないだろう。

「私1人で十分、仮面兵士を1人援護に置けば万全だと思っているが……念入りにしておきます」

 そうマクスウェルが話した時――扉が勢いよく開く。
 顔が仮面で半分隠れたダリアがやって来て、マクスウェルに対して力強く叫ぶ。

「マクスウェル。貴方の計画なんてどうでもいいの! シエルを苦しめる為ならなんでもするわ!」

 もうダリアは、シエルに対する殺意しかないようだ。

 主である俺の命令には聞くようで……命令以外聞けない兵士と化す仮面を、俺がシエルに着ける。

 そのシエルを人質にロランを消せば、全てが解決するだろう。

 この時、俺達はロランをどう足止めすることだけに意識を向けている。
 そのせいで――最悪の事態を招くことを、この時の俺が知ることはなかった。
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