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第37話
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バルター視点
俺はとんでもないことをしてしまったと、後悔するしかない。
その日の夜、ダリアがやって来て……来た理由は推測できている。
ダリアも焦っている様子で、俺の部屋で2人きりになって叫ぶ。
「バルター様! シエルを従わせると言っていたのに、あれはどういうことですか!?」
「ま、まさかシエルが断るとは思わなかったんだ」
「あれだけ自信満々に言っておいてあの様、婚約者として恥ずかしくて堪りませんでした!」
「ぐっっ……」
ダリアの叫びを聞き、俺は激怒しそうになるのを堪える。
相手は侯爵令嬢――流石に言い合いになって、関係を壊すのはマズい。
元婚約者シエルには暴言を吐けたことを思い出し、ダリアには暴言を吐けないことに憤る。
全てダリアのせいだというのに、侯爵令嬢だから敵に回したくはない。
苛立ちを必死に堪えながら、俺は話す。
「今回は失敗したが、策はまだある」
これは嘘ではなく、本当に策はあるが……この手段だけは使いたくなかった。
それでも後には引けないと考えていると、ダリアが呆れながら話す。
「それならいいですけど……バルター様にはあまり期待していません。その評価を変えられるよう行動してください」
偉そうに話すダリアに苛立つも、ここは我慢するしかない。
全てダリアのせいだと考えて……俺は、ダリアを切り捨てることを決意していた。
俺はとんでもないことをしてしまったと、後悔するしかない。
その日の夜、ダリアがやって来て……来た理由は推測できている。
ダリアも焦っている様子で、俺の部屋で2人きりになって叫ぶ。
「バルター様! シエルを従わせると言っていたのに、あれはどういうことですか!?」
「ま、まさかシエルが断るとは思わなかったんだ」
「あれだけ自信満々に言っておいてあの様、婚約者として恥ずかしくて堪りませんでした!」
「ぐっっ……」
ダリアの叫びを聞き、俺は激怒しそうになるのを堪える。
相手は侯爵令嬢――流石に言い合いになって、関係を壊すのはマズい。
元婚約者シエルには暴言を吐けたことを思い出し、ダリアには暴言を吐けないことに憤る。
全てダリアのせいだというのに、侯爵令嬢だから敵に回したくはない。
苛立ちを必死に堪えながら、俺は話す。
「今回は失敗したが、策はまだある」
これは嘘ではなく、本当に策はあるが……この手段だけは使いたくなかった。
それでも後には引けないと考えていると、ダリアが呆れながら話す。
「それならいいですけど……バルター様にはあまり期待していません。その評価を変えられるよう行動してください」
偉そうに話すダリアに苛立つも、ここは我慢するしかない。
全てダリアのせいだと考えて……俺は、ダリアを切り捨てることを決意していた。
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