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第36話

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バルター視点

 授業を終えて屋敷に戻り――俺は部屋で1人になり、現状が理解できず叫ぶしかない

「馬鹿な……あのシエルが、俺の命令を聞かないだと!?」

 これは完全に予想外で、どうすればいいのかわからなくなってしまう。
 今まで自分が学園中に蔑まれる命令すら聞いていたシエルが、俺の命令を聞かなかった。

 元婚約者になったことはわかっていても、命令は聞くだろうと考えてしまった。
 普通に考えれば聞くわけがないのに……ダリアの報告を聞き、焦った末路だ。

 そして――部屋をノックして、従者の1人が入ってくる。
 シエルとロランの関係が気になり、調査させていた者だ。

 その従者の報告を聞いて……シエルがロランと協力していると知り、俺は更に後悔する。

 シエルがロランと仲がいいことは知っているが、友達程度のはず。
 クースラ侯爵家を潰そうと考えるほど仲がいいわけがないと考えていたのに、協力していることに焦るしかない。

 真っ先に報告が違っていると考えた俺は、従者に対して叫ぶ。

「馬鹿な……ロランが問題対処に同行させるほど、シエルと仲がいいのか!?」

「目撃者もいます。それも、ロラン様から率先してシエル様を誘ったようです」

「ぐぅぅっっ……」

 それなら――シエルに迷惑をかけた俺、クースラ侯爵家をロランが潰そうと考えてもおかしくはない。

 最悪の事態を想像してしまい、俺は今日の行動を後悔するしかなかった。
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