何もできない王妃と言うのなら、出て行くことにします

天宮有

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第86話

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ドスラ視点

 応接室に到着して、俺は全てを話して謝罪する。
 これで戻ると考えていたのに、エルノアの返答が信じられなかった。

「知りたかったことは全て聞けました。ドスラとはもう関わりたくありません」
「はぁぁっ!? 俺が謝罪して戻れと言っているんだ!!」
「エルノアが戻らないと言っただろう。ランアス国まで俺が送ってやる」

 ウルクの発言を聞き、怯んだ俺は何も言えなくなっていた。

 今までの戦いを見ているから、ウルクなら一瞬で俺を消すことができると知っている。
 それでもランアス国のためにエルノアを説得しようとした時――俺は、意識を失っていた。

 意識を失った俺はランアス国の城、玉座の間で目覚める。
 何が起きたのか理解できないでいると、正面にいたサウスが話す。

「先ほど、ウルク様がやって来まして……玉座の前に陛下を座らせ、一瞬で消え去ってしまいました」
「そんな……逃げることすら、許さないというのか!!」

 敵の侵攻は王都にまで迫り、エルノアを連れ戻せなければ戻る気がなかった。
 それなのに……ウルクによって、俺は玉座で最期を迎えることとなる。
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