何もできない王妃と言うのなら、出て行くことにします

天宮有

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第68話

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ドスラ視点

 時間は遡り――俺は魔法道具の板で、ウルクとエルノアを眺めていた。

 計画は予定通り進み、王都でレオウの前にウルクがいる。
 魔法道具の板はレオウと視界を同調して、ここまでは予定通りだ。

 魔法組織の幹部が取り囲み、ウルクを倒そうとしている。
 その光景を眺めながら、隣にいるリオナに話す。

「昨日の戦いで、ウルクは疲弊している。そこに魔法組織の全戦力を使えば、倒せるに違いない」
「普通ならそうですね。ここまでしないと倒せない辺り、ウルクは異常です」

 前日の戦いを思い出し、ウルクの強さを俺は確信している。
 多勢でも平然と魔法を無力化して反撃するウルクは強すぎて、エルノアの傍にいるから排除しなければならない存在だ。

「報告通り、魔法で防御している間は反撃がこないのだから、どうすることもできないだろう」
「そうですね。ウルクだけなら、厳しいと思います」

 この時の俺は、リオナの発言の意味を知ろうともしていない。
 エルノアが結界魔法を使うことを、この時の俺は想定していなかった。
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