何もできない王妃と言うのなら、出て行くことにします

天宮有

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第12話

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ドスラ視点

 数週間が経ち、宰相サウスの報告を聞いた俺は驚くしかなかった。
 
 リオナが魔法を使い、ランアス国で発生した問題を幾つも解決している。
 優秀なのは知っていたが、そこまで活躍していることが理解できない。

 玉座の間で困惑していると、サウスが話す。

「リオナ様がいない場所では多大な被害が出ていますけど、リオナ様は予想以上に活躍しています」
「魔法使いとして優秀と知っていたが、魔法が使える兵士程度のはずだ」
「はい。王妃のリオナ様が前線に出ることで士気が上がる程度の活躍しかできないと思っていたのに……あれほどまで魔法使いとして優れているとは、私も信じられません」

 そう言われて俺は、リオナと初めて出会った頃を思い返す。
 魔法学園に入学した平民で、見た目の美しさと魔法の実力が高く側妃にしている。
 それでも……学生にしては優秀なだけで、俺はリオナの活躍が信じられなかった。

「やはりリオナでは、今聞いたような活躍ができるとは思えない」
「理由はわかりませんけど、魔法学園では力を抑えていたのでしょう。ランアス国の危機だから、リオナ様は本気を出したのかもしれません」

 サウスの推測を聞き、俺は納得する。
 その後もリオナは活躍し、王妃にしてよかったと思ってしまう。

 そして……エルノアが出て行った理由を、俺は思い出せなくなる。
 全てリオナの計画通りということを、この時の俺は何も知らなかった。
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