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第11話
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ドスラ視点
エルノアがランアス国を出て行ってから、1ヶ月が経とうとしていた。
王都や町は元々結界が存在していたが、それをエルノアの結界魔法による結界を重ねて強化していた。
その結界が消えたことにより、ランアス国では様々な問題が発生することとなってしまう。
俺は玉座に座り、宰相サウスから報告を聞く。
数週間前にフリードが言った通り、国民は疲弊して脅威となるモンスターが活性化している。
それにより多大な被害が出てしまい、国を捨てる者は増え続けているようだ。
報告を聞いた俺は憤り、サウスに対して叫ぶ。
「クソッッ! エルノアはまだ見つからないのか!?」
「シーフェス公爵家からは「ランアス国を出て行く」と聞きましたので、周辺の国を捜索しています……ですが、結界が強化されて恩恵を得ている国がどこかにあるはずなのに、そのような国は現時点では見つかっていません」
「馬鹿な!? エルノアは結界魔法しか使えないから、生きるため結界魔法を使うはずだ!!」
この時エルノアは、結界魔法を二―ルド国の森にしか使っていない。
まさか1カ所だけしか使っていないとは思わず、1ヶ月の調査では何も把握できなかった。
取り乱してしまうと、宰相サウスが頷いて。
「私も同じ考えです……これからも他国を調査していきます。急に繁栄した国があれば、その国にエルノアがいるに違いありません」
「わかった。見つけることができれば、どんな手を使ってでもランアス国で結界魔法を使わせろ!」
報告を聞いて部屋からサウスが出て行き、俺は頭を抱えてしまう。
エルノアが見つかるよりも先に、ランアス国が滅びる方が早いかもしれない。
最悪の事態を想像すると……俺の前に、王妃となったリオナがやって来る。
「ドスラ様、何も気にすることはありません」
「そう言ってくれるのは嬉しいが……気にするなと言われても、無理だ」
様々な問題が発生して後悔しているのに、冷静なリオナが理解できない。
恐怖してしまうと、そんな俺の手に触れたリオナが話す。
「これから私が動くので、何も問題ありません」
「それは危険過ぎる。やめておいた方がいい」
「ドスラ様、私を信じてください」
「……わかった。リオナに任せよう」
どうやらリオナは、ランアス国で起きている問題を解決するため魔法で戦いたいらしい。
危険だから止めるべきなのに……リオナの決意を聞き、俺は許可を出してしまう。
その後リオナが活躍して、俺は王妃にしてよかったと思うようになる。
エルノアが出て行った原因がリオナということを、この時の俺は覚えていなかった。
エルノアがランアス国を出て行ってから、1ヶ月が経とうとしていた。
王都や町は元々結界が存在していたが、それをエルノアの結界魔法による結界を重ねて強化していた。
その結界が消えたことにより、ランアス国では様々な問題が発生することとなってしまう。
俺は玉座に座り、宰相サウスから報告を聞く。
数週間前にフリードが言った通り、国民は疲弊して脅威となるモンスターが活性化している。
それにより多大な被害が出てしまい、国を捨てる者は増え続けているようだ。
報告を聞いた俺は憤り、サウスに対して叫ぶ。
「クソッッ! エルノアはまだ見つからないのか!?」
「シーフェス公爵家からは「ランアス国を出て行く」と聞きましたので、周辺の国を捜索しています……ですが、結界が強化されて恩恵を得ている国がどこかにあるはずなのに、そのような国は現時点では見つかっていません」
「馬鹿な!? エルノアは結界魔法しか使えないから、生きるため結界魔法を使うはずだ!!」
この時エルノアは、結界魔法を二―ルド国の森にしか使っていない。
まさか1カ所だけしか使っていないとは思わず、1ヶ月の調査では何も把握できなかった。
取り乱してしまうと、宰相サウスが頷いて。
「私も同じ考えです……これからも他国を調査していきます。急に繁栄した国があれば、その国にエルノアがいるに違いありません」
「わかった。見つけることができれば、どんな手を使ってでもランアス国で結界魔法を使わせろ!」
報告を聞いて部屋からサウスが出て行き、俺は頭を抱えてしまう。
エルノアが見つかるよりも先に、ランアス国が滅びる方が早いかもしれない。
最悪の事態を想像すると……俺の前に、王妃となったリオナがやって来る。
「ドスラ様、何も気にすることはありません」
「そう言ってくれるのは嬉しいが……気にするなと言われても、無理だ」
様々な問題が発生して後悔しているのに、冷静なリオナが理解できない。
恐怖してしまうと、そんな俺の手に触れたリオナが話す。
「これから私が動くので、何も問題ありません」
「それは危険過ぎる。やめておいた方がいい」
「ドスラ様、私を信じてください」
「……わかった。リオナに任せよう」
どうやらリオナは、ランアス国で起きている問題を解決するため魔法で戦いたいらしい。
危険だから止めるべきなのに……リオナの決意を聞き、俺は許可を出してしまう。
その後リオナが活躍して、俺は王妃にしてよかったと思うようになる。
エルノアが出て行った原因がリオナということを、この時の俺は覚えていなかった。
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