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第6話
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私がランアス国を出て行ってから、数日が経っていた。
隣国のニールド国の街に到着して、私は街の宿で休むことができている。
ランアス国の元王妃だけど「何もできない王妃」の存在をドスラ王はあまり知られたくなかったからか、街の人達が私を見ても隣国の王妃と思われることはなかった。
そして今の私は馬に乗り、街から近い広大な森の中にいる。
この森はランアス国を出て行き、隣国の二―ルド国に向かった一番の理由でもあった。
世界樹と呼ばれる膨大な魔力を宿した大樹が生えているから、危険な森らしい。
自由になった私はこの森に結界を張ることで探索し、まずはその世界樹を見たくなっていた。
馬に乗って森の中を駆けながら、私は呟く。
「結界の中に私がいると、結界内のことがよくわかります」
結界魔法の力で、私が張った結界の内側にいると頭の中に地図のようなものが浮かび上がる。
そこから危険なモンスターの位置や、自分がどこにいるのかわかるようになり迷うことがない。
結界外になるとわからないけど、この力によって森の中を問題なく探索できていた。
生息する危険なモンスターは結界を張っている私を攻撃することがなくて、世界樹のある場所に私は向かう。
そして、目的地に到着した時――とてつもなく巨大な樹の前に、1人の美青年が立っていた。
人がいることは結界魔法でわかっていたけど、誰かまではわからない。
そこにいたのは知っている人で、困惑した私は呟いてしまう。
「あれは……ウルク王子?」
金色の短い髪をした長身の美青年で、正面にいるのは二―ルド国の第二王子ウルクで間違いない。
二―ルド国で最も優秀な魔法使いだから、ランアス国でも有名な人だ。
そのウルク王子は、私を眺めて話す。
「無事に来られてなによりだ。エルノア様がランアス国から出て行ったことを、俺は結界が消えたことで察していた……そうなると、この世界樹を見に来ると思っていた」
「は、はい……ウルク様は、今まで私が来ないか待っていたのですか?」
「ああ。エルノア様に会えてよかった」
そう言って、ウルクは笑顔を浮かべる。
こんな場所で二―ルド国の第二王子と会えたことに、私は驚いてしまう。
そして――その後ウルクから提案を聞き、私は更に驚くこととなる。
隣国のニールド国の街に到着して、私は街の宿で休むことができている。
ランアス国の元王妃だけど「何もできない王妃」の存在をドスラ王はあまり知られたくなかったからか、街の人達が私を見ても隣国の王妃と思われることはなかった。
そして今の私は馬に乗り、街から近い広大な森の中にいる。
この森はランアス国を出て行き、隣国の二―ルド国に向かった一番の理由でもあった。
世界樹と呼ばれる膨大な魔力を宿した大樹が生えているから、危険な森らしい。
自由になった私はこの森に結界を張ることで探索し、まずはその世界樹を見たくなっていた。
馬に乗って森の中を駆けながら、私は呟く。
「結界の中に私がいると、結界内のことがよくわかります」
結界魔法の力で、私が張った結界の内側にいると頭の中に地図のようなものが浮かび上がる。
そこから危険なモンスターの位置や、自分がどこにいるのかわかるようになり迷うことがない。
結界外になるとわからないけど、この力によって森の中を問題なく探索できていた。
生息する危険なモンスターは結界を張っている私を攻撃することがなくて、世界樹のある場所に私は向かう。
そして、目的地に到着した時――とてつもなく巨大な樹の前に、1人の美青年が立っていた。
人がいることは結界魔法でわかっていたけど、誰かまではわからない。
そこにいたのは知っている人で、困惑した私は呟いてしまう。
「あれは……ウルク王子?」
金色の短い髪をした長身の美青年で、正面にいるのは二―ルド国の第二王子ウルクで間違いない。
二―ルド国で最も優秀な魔法使いだから、ランアス国でも有名な人だ。
そのウルク王子は、私を眺めて話す。
「無事に来られてなによりだ。エルノア様がランアス国から出て行ったことを、俺は結界が消えたことで察していた……そうなると、この世界樹を見に来ると思っていた」
「は、はい……ウルク様は、今まで私が来ないか待っていたのですか?」
「ああ。エルノア様に会えてよかった」
そう言って、ウルクは笑顔を浮かべる。
こんな場所で二―ルド国の第二王子と会えたことに、私は驚いてしまう。
そして――その後ウルクから提案を聞き、私は更に驚くこととなる。
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