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第35話

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ラウド視点
 
 クノレラに協力するようになって、数週間が経っている。
 俺は言われた通りに行動して、取り返しのつかないことになっていた。

 今日は城にクノレラがやって来て、計画の最終確認をする。
 明日には実行するようだが、俺は恐怖から聞くしかない。

「クノレラよ、失敗すれば俺達は終わってしまうが……大丈夫なのか?」

 心配する形で聞けば、怪しまれることはないはず。
 どうしても聞いておきたくなってしまい、クノレラが笑顔で話す。

「大丈夫に決まっています。これも全て、ラウド殿下の財力があったからです」

 断言するクノレラに、俺は恐怖するしかない。
 犯罪者を俺の金で雇い、雇っている状態でクノレラが魅了魔法をかける。
 雇われている状態の人間は従おうと考えているから、魅了できる対象になるようだ。

「王子という立場で、雇われた人達は報酬が支払われると確信しているからこそ魅了できました」

「魅了を解くことは普通は不可能だから、報酬を支払う必要もないが……雇った事実は変わらない」

 魅了されている間は自白もしないから、捕まっても問題ない。
 それでも俺が犯罪者と取引したのは事実で、発覚すれば間違いなく処罰されるだろう。

「魅了魔法が解けたのは、キャシーの力による可能性が高い……そのキャシーを消せば、全てうまくいくでしょう!」

 俺が不安になっていると、クノレラが断言した。
 魅了魔法が解けたのは王家の力だが、俺の発言を信じたクノレラはキャシーの力だと信じている。
 排除する為の準備を完成させて――クノレラの計画に、俺は戦慄するしかなかった。
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