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第11話

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ラウド視点

 キャシーを捨てたことを強く後悔した瞬間、俺の体に異変が起きる。
 頭の中に靄が発生していて、それが一瞬で腫れたような感覚に陥ってしまう。
 そして――晴れやかな気分になった俺は、全身を震わせて叫んでいた。

「なっ、何故だ……どうして俺は、今までクノレラを好きになっていた!?」

 俺は自分の身に何が起きたのか、理解することができない。
 魅力的で愛していたクノレラは、一瞬でどうでもいい存在になっている。
 いつの間にかクノレラのことが好きになって、キャシーと婚約を破棄していた。
 
「今にして思えば、俺がクノレラを好きになる理由がない!」

 キャシーが初級魔法を失敗していた時、俺は婚約したことを少し後悔した。
 それなのにキャシーより魔法を失敗していたクノレラを、俺は好きになっていた。

「……俺がクノレラを好きになったのは、キャシーに失望した時だ」

 表彰されたキャシーを眺めて、俺は激怒していた。
 その時にクノレラの方が好きだと、強く想うようになる。

「何が起きているのか理解できないが……クノレラとの婚約を破棄するのは不可能だろう」

 俺はキャシーと関わってしまい、国王が更に慰謝料を支払っている。
 今の父上は俺に失望しているから、クノレラとの婚約を破棄したいなんて言えない。
 
 俺はクノレラに恐怖して、全てを後悔していた。
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