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第8話
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ヴァン視点
サフィラを屋敷から追い出して、数日が経っていた。
ウォルク家の領主になることができた俺は、エイダに話す。
「いきなり俺の元に来た時は驚いたが、エイダを妻にして正解だった」
「ヴァンなら家を捨てた私でも、妻にしてくれると信じていたからよ」
エイダは妹サフィラより劣るも、水魔法の素質があった。
伯爵令嬢で話していると気が合っていたが、家を捨てたから住ませて欲しいと屋敷に来たときは悩んだものだ。
それでも俺がサフィラを屋敷に住まわせ、妻にしたのは――聖水化の魔法道具について聞いたからだ。
失敗したら水魔法を使える魔法使い程度にしかならず、妻にする気はなかった。
それでも……聖水化の魔法道具が成功したことを聞いてすぐに、俺はエイダを妻にする。
エイダの父は身体が弱く、長く生きられないと聞いていた。
それなら――父親が亡くなった後なら、ウォルク家の財産が手に入るかもしれない。
エイダと結婚して数年が経ち、ウォルク家領主が亡くなってから……先にエイダが提案していた。
サフィラを追い出して屋敷に戻りたかったエイダに、俺は賛同して行動する。
「エイダの言うとおりにして、正解だった」
「家を捨てた私を妻にした時点で、ヴァン様も考えていたのではありませんか?」
「やはりエイダとは気が合う。妻にして正解だった」
そう言って俺とエイダは笑い合い、今で一番幸せだと考えている。
その幸せが長く続かないことを――俺達はまだ、何も知らなかった。
サフィラを屋敷から追い出して、数日が経っていた。
ウォルク家の領主になることができた俺は、エイダに話す。
「いきなり俺の元に来た時は驚いたが、エイダを妻にして正解だった」
「ヴァンなら家を捨てた私でも、妻にしてくれると信じていたからよ」
エイダは妹サフィラより劣るも、水魔法の素質があった。
伯爵令嬢で話していると気が合っていたが、家を捨てたから住ませて欲しいと屋敷に来たときは悩んだものだ。
それでも俺がサフィラを屋敷に住まわせ、妻にしたのは――聖水化の魔法道具について聞いたからだ。
失敗したら水魔法を使える魔法使い程度にしかならず、妻にする気はなかった。
それでも……聖水化の魔法道具が成功したことを聞いてすぐに、俺はエイダを妻にする。
エイダの父は身体が弱く、長く生きられないと聞いていた。
それなら――父親が亡くなった後なら、ウォルク家の財産が手に入るかもしれない。
エイダと結婚して数年が経ち、ウォルク家領主が亡くなってから……先にエイダが提案していた。
サフィラを追い出して屋敷に戻りたかったエイダに、俺は賛同して行動する。
「エイダの言うとおりにして、正解だった」
「家を捨てた私を妻にした時点で、ヴァン様も考えていたのではありませんか?」
「やはりエイダとは気が合う。妻にして正解だった」
そう言って俺とエイダは笑い合い、今で一番幸せだと考えている。
その幸せが長く続かないことを――俺達はまだ、何も知らなかった。
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