婚約破棄が決まっているようなので、私は国を出ることにしました

天宮有

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第7話

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 ラーサーは思いつきで、私と一緒にランアス国へ行かないか提案した。
 その行動力に驚くしかなくて、ラーサーに尋ねる。

「今のランアス国は間違いなく危険ですけど、見に行きたいと本気で仰っているのですか?」

「本気です。この後は結界を直して全て解決するから、その前に見ておきたいと考えています」

 ラーサーは本気のようで……私も、結界が壊れた国の状況は知りたかった。

 私が結界を強化したのは、結界の外のモンスターが強くなってきたからだ。
 最悪の事態を想像して行動したのに、元婚約者ドスラ王子がそれ以上の行動をとっている。
 見に行くのは危険だと思っているけど、私もランアス国の惨状が気になっていた。

「わかりました。私も同行します」

「ありがとうございます。エルノア様なら、一緒に来てくれると思っていました」

 そう言って、私はラーサーに同行することを決める。
 ランアス国は今、侵攻するモンスターの対処に集中しているはずだ。
 魔法道具で変装もできるから、大丈夫だと確信していた。

■◇■◇■◇■◇■

 数日後、私達はランアス国の周辺まで到着した。

 馬車から降りて、遠くを確認できる魔法道具で私とラーサーは戦場を眺める。
 安全な場所で様子を見ていたけど、ランアス国に向かうモンスターが多かった。

 ランアス国の兵士達がモンスターを倒しているけど、敵はかなりの数だ。
 ラーサーから聞いているけど、ランアス国の周辺の国も被害を受けているらしい。
 想像以上に酷い状況で、私は呟く。

「こんな状況なら、結界を直す以外に方法はないでしょう」

「そうなれば調査して――結界が壊れた原因が発覚した後、ドスラ王子は終わります」

 ラーサーの発言を聞いて、私は頷く。
 そして――これから、ドスラとリオナは全てを後悔することとなる。
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