婚約破棄が決まっているようなので、私は国を出ることにしました

天宮有

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第6話

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 私がニールド国に住むようになってから、数ヶ月が経っていた。

 ランアス国は総力をあげて私を捜索しているようだけど、ニールド国にいるなんて想像できないはず。
 今まで怪しまれたことはなくて、今日は部屋でラーサーから報告を聞いていた。

「結界が壊れたことで、ランアス国を狙い様々なモンスターが侵攻しているようです」

「予想できたことですけど……侵攻に対して、ランアス国は何か行動を起こしましたか?」

 結界が壊れたと知った時点で、対処しようと動くはずだ。
 私は尋ねると、ラーサーの返答に驚くことになる。

「そうですね。まず結界を調査することにしたようですが、ドスラ王子が反対したようです」

「それは……結界を壊した張本人だと、知られてしまう可能性があったからですね」

 本来の予定なら、全て私のせいにできていた。
 その私がランアス国にいないのだから、結界を調査するのは予想できるはずだ。
 ドスラとリオナは何も考えていないと、今までの報告から察してしまう。

「結界を調べるのは当然の行動なので、反対しても調べるに決まっています」

「ドスラは私のせいにしようとしていますけど、詳しく調査すれば元凶がわかりそうです」

 本来なら、私の命を使い結界を直すことにより全て解決させようとしていた。
 その手段が使えないからこそ、結界を調べることで原因が判明しそうだ。

「魔法道具で変装しているから、エルノア様だとバレることはありません。一度、俺とランアス国を見に行きませんか?」

「……えっ?」

 今後のことを思案している私に対して、ラーサーが提案する。
 結界が壊れたランアス国の惨状を、ラーサーは確認したいようだ。
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