婚約破棄が決まっているようなので、私は国を出ることにしました

天宮有

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第3話

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 私がラーサーとはじめて出会ってから、2週間が経っていた。

 ニールド国はランアス国と距離があるけど、生活はあまり変わらない。
 城で生活することが決まったけど、国王はラーサーの行動力を知っているから納得している。
 私が事情を話すことで、ランアス国の現状を調べると約束してくれた。

 私は魔法を使い、ニールド国に貢献している。
 新生活に慣れてきた頃――部屋にラーサーがやって来て、ランアス国の現状を話してくれた。

「先週のパーティで、ドスラはリオナを婚約者にしました」

「そうですか。ドスラなら、私がいなくなったことを好機と考えそうです」

 パーティで私の妹リオナと婚約するのが、ドスラの目的だったはず。
 結界を壊した件はどうしたのか気になっていると、ラーサーが話してくれる。

「パーティではエルノア様が行方不明になったことが話題になり、結界を壊したから失踪したとドスラ王子が決めつけたようです」

「私が国を出たのは予想外だと思いますけど、ドスラ達は予定通り行動したのですか」

「本来ならドスラは捏造した罪でエルノア様を糾弾して、罰として従わせてから嘘でもクノレラ様に「自分のせい」と言わせるつもりだったのでしょう」

 それはラーサーが知っていたから、パーティの前に国から出ることができている。
 私がいないのだから予定とは違うはずだけど、結界が壊れたことはパーティの時の公表したようだ。

「ドスラは国王に頼み、周辺の国を捜索させているようですが……エルノア様を見つけ出せるとは思えません」

「今の私は魔法道具で変装していますし、ニールド国の城に住んでいるとは考えないでしょう」

 そうなれば、結界の問題を対処するために行動しなければならない。
 結界を直すには魔法使いの命が必要になるけど、優秀でなければ何人も必要だ。
 本来なら私を生贄にして、存在を消し全て解決するつもりだったのかもしれない。

「私がいなくなったことで、ランアス国は騒動になっていそうです」

「結界を調べていけば、真相がわかります。そうなれば、ドスラ達は間違いなく糾弾されるでしょう」

 私を消すための計画には、協力者が何人もいると推測している。
 結界が壊れたことで危機的状況になると、全てを話す人が現れそうだ。

「これからランアス国は、結界が壊れたことで大変な目に合うから……私の捜索も、できなくなりそうです」

 魔法道具で変装していることもあって、私の居場所はわからないに決まっている。
 結界が壊れたランアス国がどうなったとしても、私は構わなかった。
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