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第2話
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私は婚約者ドスラを追及して、ラーサーの発言が正しかったと確信した。
数日が経った早朝――私の部屋に、再びラーサー王子がやって来る。
私の反応を見て、ラーサーは何があったのかわかったようだ。
「エルノア様は、俺の話を聞いて行動したようですね」
「はい。婚約者のドスラ殿下、そして家族に追及しましたけど……ラーサー殿下の話は間違いなさそうです」
ドスラを追及した後、私は家族にも同じような質問をした。
パーティについて聞いただけでも、私の家族は動揺している。
それはパーティがはじまった時、捏造した罪で私を糾弾するからに違いない。
「エルノア様は結界を調べようとしていないので、怪しまれることはないでしょう」
結界について調べたのはラーサーだから、私が結界について知っているとは思わない。
まず他国の王子が私の屋敷に来て、パーティで起こる婚約破棄について話しているのが異常だった。
「はい。ラーサー殿下、ありがとうございます」
「俺はエルノア様が優秀な魔法使いと前から知っていました。だからこそ、こんなふざけた理由で消えて欲しくなかっただけです」
「そ、そうでしたか」
「エルノア様について調べていたからこそ、傍にいて欲しいと考えています――俺の国に、来てもらえますか?」
それは数日前にも提案されたことで、今の私はランアス国を出ていくつもりだ。
返答は決まっていて、ラーサーから傍にいて欲しいと言われたことが嬉しい。
婚約者のドスラは、常にリオナのことばかり考えていた。
そんな人と比べてしまい、助けてくれたラーサーは素敵だと今の私は想っている。
「はい。これから、よろしくお願いいたします」
私は頷き、決意を話す。
その後はラーサーの後ろをついていくことで、私達は誰にも気付かれずに屋敷の外に出る。
少し離れた場所には馬車が待っていて、すぐに国外へ移動するようだ。
馬車の中で、ラーサーが笑顔を浮かべて話す。
「エルノア様が準備をしてくれたから、すぐに行動できてよかったです」
「ドスラと家族に聞いてみたら、明らかに動揺していたから確信できました――もう、この国にはいたくありません」
「結界を壊したドスラ王子の末路が知りたいので、これから俺は常にランアス国の状況を把握できるようにします」
そうラーサーが話してくれるけど、私もドスラの末路が気になっていた。
結界が壊れることは珍しいようで、今回は王子のドスラが壊している。
私との婚約を破棄して、リオナと婚約したかったという理由も正気ではなかった。
「数日後のパーティでドスラ達がどんな行動をとるのかはわかりませんでしたけど、これでどうしようもないでしょう」
「俺も同じ考えです。エルノア様のせいにできませんから、すぐに真相が発覚すると推測できます」
ラーサーの発言を聞いて、私は頷く。
私が国を出た時点で、ドスラは完全に終わりだった。
数日が経った早朝――私の部屋に、再びラーサー王子がやって来る。
私の反応を見て、ラーサーは何があったのかわかったようだ。
「エルノア様は、俺の話を聞いて行動したようですね」
「はい。婚約者のドスラ殿下、そして家族に追及しましたけど……ラーサー殿下の話は間違いなさそうです」
ドスラを追及した後、私は家族にも同じような質問をした。
パーティについて聞いただけでも、私の家族は動揺している。
それはパーティがはじまった時、捏造した罪で私を糾弾するからに違いない。
「エルノア様は結界を調べようとしていないので、怪しまれることはないでしょう」
結界について調べたのはラーサーだから、私が結界について知っているとは思わない。
まず他国の王子が私の屋敷に来て、パーティで起こる婚約破棄について話しているのが異常だった。
「はい。ラーサー殿下、ありがとうございます」
「俺はエルノア様が優秀な魔法使いと前から知っていました。だからこそ、こんなふざけた理由で消えて欲しくなかっただけです」
「そ、そうでしたか」
「エルノア様について調べていたからこそ、傍にいて欲しいと考えています――俺の国に、来てもらえますか?」
それは数日前にも提案されたことで、今の私はランアス国を出ていくつもりだ。
返答は決まっていて、ラーサーから傍にいて欲しいと言われたことが嬉しい。
婚約者のドスラは、常にリオナのことばかり考えていた。
そんな人と比べてしまい、助けてくれたラーサーは素敵だと今の私は想っている。
「はい。これから、よろしくお願いいたします」
私は頷き、決意を話す。
その後はラーサーの後ろをついていくことで、私達は誰にも気付かれずに屋敷の外に出る。
少し離れた場所には馬車が待っていて、すぐに国外へ移動するようだ。
馬車の中で、ラーサーが笑顔を浮かべて話す。
「エルノア様が準備をしてくれたから、すぐに行動できてよかったです」
「ドスラと家族に聞いてみたら、明らかに動揺していたから確信できました――もう、この国にはいたくありません」
「結界を壊したドスラ王子の末路が知りたいので、これから俺は常にランアス国の状況を把握できるようにします」
そうラーサーが話してくれるけど、私もドスラの末路が気になっていた。
結界が壊れることは珍しいようで、今回は王子のドスラが壊している。
私との婚約を破棄して、リオナと婚約したかったという理由も正気ではなかった。
「数日後のパーティでドスラ達がどんな行動をとるのかはわかりませんでしたけど、これでどうしようもないでしょう」
「俺も同じ考えです。エルノア様のせいにできませんから、すぐに真相が発覚すると推測できます」
ラーサーの発言を聞いて、私は頷く。
私が国を出た時点で、ドスラは完全に終わりだった。
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