婚約を破棄したいと言うのなら、私は愛することをやめます

第２７話

　精神的に追い詰められているザオードは、私に頼み込んでいた。

　報酬を払うと言われているけど、私は絶対に嫌だ。
　ザオードの発言を聞き、私の前にクラウスが来て話す。

「マリーの言う通り、ザオードは生徒に頼むのではなく優秀な魔法使いを雇えばいい」
「ぐっっ……クラウスは何も聞いていなかったのか！？　雇ったけど無意味で、マリーの力が必要なんだ！！」
「マリーは俺が雇っている。お前に魔法を教える必要はない」
「はぁぁっっ！？　クラスメイトが退学になろうとしているのに、お前は俺を見捨てるというのか！！」

　相手の方が立場が上だから、ザオードは命令できないようだ。

　今は周囲の評判を落とすことで、私に魔法を教えるしかない状況を作ろうとしている。
　そんなザオードに対して、クラウスは冷静に話す。

「見捨てるか。お前が退学になるのは、魔法を何度も失敗しているからだ」
「それはわかっている。魔法を成功させるためマリーの力が――」
「――魔法を失敗する生徒は、この教室でお前だけだ。その程度のこともできないなら退学しろ」
「そ、それは……クソッッ！！」

　クラウスの発言に言い返せず、ザオードは諦めたようだ。
　魔法学園の生徒なら誰でもできることができなくなったから、退学となるのは当然と私も思っていた。