婚約を破棄したいと言うのなら、私は愛することをやめます

天宮有

文字の大きさ
上 下
5 / 43

第5話

しおりを挟む
ザオード視点

 休日が終わり魔法学園に登校した俺は、クラスメイトにマリーが家を捨て退学したと言い広める。
 学園にもういないマリーのせいにすることで、これからリシアを新しい婚約者にするつもりでいた。

 そして数日が経ち……俺はマリーを脅し命令していたことを、更に後悔するようになる。
 今までマリーから教わっていたから成績がよくて、消えたことにより教わる時間が必要だったと再認識したからだ。

 魔法を扱う授業で、指示された通りに魔法が使えなくなった俺に対して先生が言う。

「ザオード様。婚約者が退学になったせいかもしれませんけど、自身の扱う魔力に合わせて魔法を使うべきです」
「わかっている! マリーは何も関係ない!!」

 魔法が成功しなくなり、先生の忠告を聞き激昂するしかない。
 今までマリーに対して「婚約を破棄したい」と俺は言い続けていたのに、そのマリーがいなくなると魔法が上手く扱えなくなってしまう。

 マリーが優秀だったと知られたら、俺の評判は間違いなく落ちるだろう。
 数日の間は努力し今まで以上の成績を出そうとしたが……努力したことにより、マリーがどれだけ教えることが上手かったのかを思い知らされていた。

 叫んだ俺を眺めて、先生は告げる。

「そうですか。それなら問題ないと思いますけど、もしこれからも魔法を失敗するようなら退学もありえます」
「なっっ……俺は伯爵家の令息なのに、退学させるというのか!」
「それが決まりです。ザオード様が今まで通り魔法を扱えれば、何も問題ありません」
「そ、そうだな! わかっている!」

 今まで通り……先生の発言を聞き、俺は更に焦ってしまう。

 マリーに命令し続けていたことを後悔するが、それは誰にも知られるわけにはいかない。
 そんなことを考えると集中できず、何度も魔法を失敗して……俺が後悔していると、学園の生徒達は察するようになっていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】騙された? 貴方の仰る通りにしただけですが

ユユ
恋愛
10歳の時に婚約した彼は 今 更私に婚約破棄を告げる。 ふ〜ん。 いいわ。破棄ね。 喜んで破棄を受け入れる令嬢は 本来の姿を取り戻す。 * 作り話です。 * 完結済みの作品を一話ずつ掲載します。 * 暇つぶしにどうぞ。

【完結】もう辛い片想いは卒業して結婚相手を探そうと思います

ユユ
恋愛
大家族で大富豪の伯爵家に産まれた令嬢には 好きな人がいた。 彼からすれば誰にでも向ける微笑みだったが 令嬢はそれで恋に落ちてしまった。 だけど彼は私を利用するだけで 振り向いてはくれない。 ある日、薬の過剰摂取をして 彼から離れようとした令嬢の話。 * 完結保証付き * 3万文字未満 * 暇つぶしにご利用下さい

【完結】馬車の行く先【短編】

青波鳩子
恋愛
王命による婚約を、破棄すると告げられたフェリーネ。 婚約者ヴェッセルから呼び出された学園の予備室で、フェリーネはしばらく動けずにいた。 同級生でありフェリーネの侍女でもあるアマリアと、胸の苦しさが落ち着くまで静かに話をする。 一方、ヴェッセルは連れてきた恋の相手スザンナと、予備室のドアの外で中の様子を伺っている。 フェリーネとアマリアの話を聞いている、ヴェッセルとスザンナは……。 *ハッピーエンドではありません *荒唐無稽の世界観で書いた話ですので、そのようにお読みいただければと思います。 *他サイトでも公開しています

【完結】偽りの婚約のつもりが愛されていました

ユユ
恋愛
可憐な妹に何度も婚約者を奪われて生きてきた。 だけど私は子爵家の跡継ぎ。 騒ぎ立てることはしなかった。 子爵家の仕事を手伝い、婚約者を持つ令嬢として 慎ましく振る舞ってきた。 五人目の婚約者と妹は体を重ねた。 妹は身籠った。 父は跡継ぎと婚約相手を妹に変えて 私を今更嫁に出すと言った。 全てを奪われた私はもう我慢を止めた。 * 作り話です。 * 短めの話にするつもりです * 暇つぶしにどうぞ

【完結】前世の恋人達〜貴方は私を選ばない〜

恋愛
前世の記憶を持つマリア 愛し合い生涯を共にしたロバート 生まれ変わってもお互いを愛すと誓った二人 それなのに貴方が選んだのは彼女だった... ▶︎2話完結◀︎

婚約者が一目惚れをしたそうです

クロユキ
恋愛
親同士が親友で幼い頃から一緒にいたアリスとルイスは同じ学園に通い婚約者でもあった。 学園を卒業後に式を挙げる約束をしていた。 第一王子の誕生日と婚約披露宴に行く事になり、迎えに来たルイスの馬車に知らない女性を乗せてからアリスの運命は変わった… 誤字脱字がありますが、読んでもらえたら嬉しいです。 よろしくお願いします。

殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。

和泉鷹央
恋愛
 雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。  女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。  聖女の健康が、その犠牲となっていた。    そんな生活をして十年近く。  カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。  その理由はカトリーナを救うためだという。  だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。  他の投稿サイトでも投稿しています。

【完結】婚約破棄?勘当?私を嘲笑う人達は私が不幸になる事を望んでいましたが、残念ながら不幸になるのは貴方達ですよ♪

山葵
恋愛
「シンシア、君との婚約は破棄させてもらう。君の代わりにマリアーナと婚約する。これはジラルダ侯爵も了承している。姉妹での婚約者の交代、慰謝料は無しだ。」 「マリアーナとランバルド殿下が婚約するのだ。お前は不要、勘当とする。」 「国王陛下は承諾されているのですか?本当に良いのですか?」 「別に姉から妹に婚約者が変わっただけでジラルダ侯爵家との縁が切れたわけではない。父上も承諾するさっ。」 「お前がジラルダ侯爵家に居る事が、婿入りされるランバルド殿下を不快にするのだ。」 そう言うとお父様、いえジラルダ侯爵は、除籍届けと婚約解消届け、そしてマリアーナとランバルド殿下の婚約届けにサインした。 私を嘲笑って喜んでいる4人の声が可笑しくて笑いを堪えた。 さぁて貴方達はいつまで笑っていられるのかしらね♪

処理中です...