婚約者を奪われたのでこれから幸せになります

天宮有

文字の大きさ
上 下
8 / 13

第8話

しおりを挟む
 ギレナが停学になってから、1週間が経っていた。

 グリンから魔法を教わることで、私の成績は更によくなっていく。
 次の試験では学年で一番優秀な生徒になれるとグリンに言われて、私は期待に応えたかった。

 授業が終わり放課後になり、私の席にデュラドがやって来る。
 ギレナが停学になってから評判が落ちているようで、デュラドが私に言う。

「今までのことは謝ろう! マイアは俺の婚約者に戻って欲しい!」
「デュラド様は、何を仰っているのですか?」
「婚約者に戻ると言っているんだ! ギレナは今回の件で婚約を破棄できるし、何も問題はない!」

 どうやらデュラドとしては、問題を起こすギレナが嫌になったようだ。
 切り捨てて関係を元に戻したいようだけど、戻る気はない。

「嫌です」
「なに……俺との婚約が嫌だと言うのか!」
「当たり前でしょう。元の関係に戻れると思っていたのですか?」
「ぐっっ!? どんな手を使ってでも、お前を婚約者に戻してやる!!」

 私の意思を聞く気がないようで、強引に元の関係に戻したいようだ。

 グリンと婚約して、デュラドと無関係になれたのは本当に嬉しい。
 これから行動を起こす前に、私は言っておきたいことがある。

「どんな手を使っても無意味です。今の私はグリン様の婚約者になりました」
「はぁぁっ!? お前如きが、公爵家の令息グリンと婚約できるわけないだろう!!」
「――マイアが言ったことは事実だ。私の婚約者を蔑むことはやめろ」

 そう言って、教室にグリンがやって来て話す。
 公表していないから教室で騒ぎになって、私の前にグリンが来てくれた。

「いつもなら放課後すぐマイアが教室に来てくれたが、今日は遅かったから私の方から来た……デュラド、お前はマイアと婚約者に戻りたかったようだが、それは無理だ」
「うっっ……クソッッッ!!」

 私の発言は信じなかったけど、グリンが教室で断言する。
 この状況で嘘と言うことはできなかったようで、デュラドは逃げ去っていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「きみ」を愛する王太子殿下、婚約者のわたくしは邪魔者として潔く退場しますわ

茉丗 薫
恋愛
わたくしの愛おしい婚約者には、一つだけ欠点があるのです。 どうやら彼、『きみ』が大好きすぎるそうですの。 わたくしとのデートでも、そのことばかり話すのですわ。 美辞麗句を並べ立てて。 もしや、卵の黄身のことでして? そう存じ上げておりましたけど……どうやら、違うようですわね。 わたくしの愛は、永遠に報われないのですわ。 それならば、いっそ――愛し合うお二人を結びつけて差し上げましょう。 そして、わたくしはどこかでひっそりと暮らそうかと存じますわ。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  ※作者より※ 受験や高校入学の準備で忙しくなりそうなので、先に予告しておきます。 予告なしに更新停止する場合がございます。 その場合、いずれ(おそらく四月中には)更新再開いたします。 必ずです、誓います。 期間に関してはは確約できませんが……。 よろしくお願いします。

真実の愛かどうかの問題じゃない

ひおむし
恋愛
ある日、ソフィア・ウィルソン伯爵令嬢の元へ一組の男女が押しかけた。それは元婚約者と、その『真実の愛』の相手だった。婚約破棄も済んでもう縁が切れたはずの二人が押しかけてきた理由は「お前のせいで我々の婚約が認められないんだっ」……いや、何で? よくある『真実の愛』からの『婚約破棄』の、その後のお話です。ざまぁと言えばざまぁなんですが、やったことの責任を果たせ、という話。「それはそれ。これはこれ」

手順を踏んだ愛ならばよろしいと存じます

Ruhuna
恋愛
フェリシアナ・レデスマ侯爵令嬢は10年と言う長い月日を王太子妃教育に注ぎ込んだ 婚約者であり王太子のロレンシオ・カルニセルとの仲は良くも悪くもなかったであろう 政略的な婚約を結んでいた2人の仲に暗雲が立ち込めたのは1人の女性の存在 巷で流行している身分差のある真実の恋の物語 フェリシアナは王太子の愚行があるのでは?と覚悟したがーーーー

余命3ヶ月を言われたので静かに余生を送ろうと思ったのですが…大好きな殿下に溺愛されました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のセイラは、ずっと孤独の中生きてきた。自分に興味のない父や婚約者で王太子のロイド。 特に王宮での居場所はなく、教育係には嫌味を言われ、王宮使用人たちからは、心無い噂を流される始末。さらに婚約者のロイドの傍には、美しくて人当たりの良い侯爵令嬢のミーアがいた。 ロイドを愛していたセイラは、辛くて苦しくて、胸が張り裂けそうになるのを必死に耐えていたのだ。 毎日息苦しい生活を強いられているせいか、最近ずっと調子が悪い。でもそれはきっと、気のせいだろう、そう思っていたセイラだが、ある日吐血してしまう。 診察の結果、母と同じ不治の病に掛かっており、余命3ヶ月と宣言されてしまったのだ。 もう残りわずかしか生きられないのなら、愛するロイドを解放してあげよう。そして自分は、屋敷でひっそりと最期を迎えよう。そう考えていたセイラ。 一方セイラが余命宣告を受けた事を知ったロイドは… ※両想いなのにすれ違っていた2人が、幸せになるまでのお話しです。 よろしくお願いいたします。 他サイトでも同時投稿中です。

恋は、終わったのです

楽歩
恋愛
幼い頃に決められた婚約者、セオドアと共に歩む未来。それは決定事項だった。しかし、いつしか冷たい現実が訪れ、彼の隣には別の令嬢の笑顔が輝くようになる。 今のような関係になったのは、いつからだったのだろう。 『分からないだろうな、お前のようなでかくて、エマのように可愛げのない女には』 身長を追い越してしまった時からだろうか。  それとも、特進クラスに私だけが入った時だろうか。 あるいは――あの子に出会った時からだろうか。 ――それでも、リディアは平然を装い続ける。胸に秘めた思いを隠しながら。 ※誤字脱字、名前間違い、よくやらかします。ご都合主義などなど、どうか温かい目で(o_ _)o))9万字弱です。

【完結】裏切ったあなたを許さない

紫崎 藍華
恋愛
ジョナスはスザンナの婚約者だ。 そのジョナスがスザンナの妹のセレナとの婚約を望んでいると親から告げられた。 それは決定事項であるため婚約は解消され、それだけなく二人の邪魔になるからと領地から追放すると告げられた。 そこにセレナの意向が働いていることは間違いなく、スザンナはセレナに人生を翻弄されるのだった。

王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、 たまたま付き人と、 「婚約者のことが好きなわけじゃないー 王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」 と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。 私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、 「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」 なんで執着するんてすか?? 策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー 基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。

公爵令嬢は愛に生きたい

拓海のり
恋愛
公爵令嬢シビラは王太子エルンストの婚約者であった。しかし学園に男爵家の養女アメリアが編入して来てエルンストの興味はアメリアに移る。 一万字位の短編です。他サイトにも投稿しています。

処理中です...