1 / 13
第1話
しおりを挟む
「ギレナの方が優秀だから、お前との婚約を破棄する!」
「マイア様は魔法学園の成績が私より悪いので、今後のことを考えればデュラド様が婚約者を私に変えるのは当然のことでしょう」
伯爵令嬢の私マイア・ラミロストは、侯爵令息で婚約者のデュラドから婚約破棄を言い渡されてしまう。
屋敷に呼び出され、応接室に到着してすぐの出来事だった。
デュラドの隣にはクラスが同じ子爵令嬢のギレナがいて、今までの学園生活を思い返す。
魔法学園では私よりもデュラドはギレナと話していたから……デュラドが、ギレナのことを好きなのは知っていた。
そして成績を理由に、デュラドは婚約者を私からギレナに変えたいようだ。
婚約破棄になることは嬉しいけど、私が原因にされることだけは嫌で尋ねる。
「婚約解消を、デュラド様のお父様は納得しているのですか?」
「当然だ。お前の兄ジロアが優秀だから父が婚約するよう言ったが、お前の成績の悪さから納得してくれた」
「私の成績が悪いのは、デュラド様が無茶な命令ばかりするからです」
まだ婚約者の立場だから、最後に私は言っておく。
ジロアお兄様が優秀だからって兄と同じ魔法をデュラドが私に覚えさせようとして、そのせいで他の魔法を覚える時間がなくなってしまう。
そして相性が悪いと説明したのに学ばせた結果、ジロアお兄様の魔法を私が扱うことはできなかった。
私の成績がギレナより悪いのは、間違いなくデュラドのせいだ。
そのことを話すと、ギレナが私を睨んで叫ぶ。
「デュラド様のせいにするなんて信じられないわ! マイア様が努力しなかっただけじゃない!」
「ギレナの言う通りだ。俺のせいと言うのなら、婚約破棄した後のマイアは成績がよくなるだろう」
そう言ってデュラドとギレナが笑う辺り、これから私の成績がよくなると考えていないようだ。
浮気されていたことは知っていたから冷静で、今後はデュラドに無茶な命令を出されなくなる。
そう考えると私としては嬉しくて――これから、幸せになるため行動したい。
そんなことを考えてしまうと、デュラドが私に命令する。
「マイアは今すぐ戻り、婚約を破棄するとラミロスト伯爵家の領主に報告しろ。その時にジロアの奴が暴走してくれれば、慰謝料を払わずに済みそうだ」
「報告はします……さようなら」
家族は私を溺愛しているから……今日の出来事を報告すると、ジロアお兄様は本当にデュラドの元へ向かうはず。
相手が侯爵家の令息でも私のためならお兄様は行動しそうだから、報告するタイミングが重要となりそうだ。
私は屋敷から出て行き、馬車の中で今後のことを考えていた。
これから幸せになるため行動すると決意して――その後、デュラド達は後悔することになる。
「マイア様は魔法学園の成績が私より悪いので、今後のことを考えればデュラド様が婚約者を私に変えるのは当然のことでしょう」
伯爵令嬢の私マイア・ラミロストは、侯爵令息で婚約者のデュラドから婚約破棄を言い渡されてしまう。
屋敷に呼び出され、応接室に到着してすぐの出来事だった。
デュラドの隣にはクラスが同じ子爵令嬢のギレナがいて、今までの学園生活を思い返す。
魔法学園では私よりもデュラドはギレナと話していたから……デュラドが、ギレナのことを好きなのは知っていた。
そして成績を理由に、デュラドは婚約者を私からギレナに変えたいようだ。
婚約破棄になることは嬉しいけど、私が原因にされることだけは嫌で尋ねる。
「婚約解消を、デュラド様のお父様は納得しているのですか?」
「当然だ。お前の兄ジロアが優秀だから父が婚約するよう言ったが、お前の成績の悪さから納得してくれた」
「私の成績が悪いのは、デュラド様が無茶な命令ばかりするからです」
まだ婚約者の立場だから、最後に私は言っておく。
ジロアお兄様が優秀だからって兄と同じ魔法をデュラドが私に覚えさせようとして、そのせいで他の魔法を覚える時間がなくなってしまう。
そして相性が悪いと説明したのに学ばせた結果、ジロアお兄様の魔法を私が扱うことはできなかった。
私の成績がギレナより悪いのは、間違いなくデュラドのせいだ。
そのことを話すと、ギレナが私を睨んで叫ぶ。
「デュラド様のせいにするなんて信じられないわ! マイア様が努力しなかっただけじゃない!」
「ギレナの言う通りだ。俺のせいと言うのなら、婚約破棄した後のマイアは成績がよくなるだろう」
そう言ってデュラドとギレナが笑う辺り、これから私の成績がよくなると考えていないようだ。
浮気されていたことは知っていたから冷静で、今後はデュラドに無茶な命令を出されなくなる。
そう考えると私としては嬉しくて――これから、幸せになるため行動したい。
そんなことを考えてしまうと、デュラドが私に命令する。
「マイアは今すぐ戻り、婚約を破棄するとラミロスト伯爵家の領主に報告しろ。その時にジロアの奴が暴走してくれれば、慰謝料を払わずに済みそうだ」
「報告はします……さようなら」
家族は私を溺愛しているから……今日の出来事を報告すると、ジロアお兄様は本当にデュラドの元へ向かうはず。
相手が侯爵家の令息でも私のためならお兄様は行動しそうだから、報告するタイミングが重要となりそうだ。
私は屋敷から出て行き、馬車の中で今後のことを考えていた。
これから幸せになるため行動すると決意して――その後、デュラド達は後悔することになる。
35
お気に入りに追加
733
あなたにおすすめの小説
婚約者をないがしろにする人はいりません
にいるず
恋愛
公爵令嬢ナリス・レリフォルは、侯爵子息であるカリロン・サクストンと婚約している。カリロンは社交界でも有名な美男子だ。それに引き換えナリスは平凡でとりえは高い身分だけ。カリロンは、社交界で浮名を流しまくっていたものの今では、唯一の女性を見つけたらしい。子爵令嬢のライザ・フュームだ。
ナリスは今日の王家主催のパーティーで決意した。婚約破棄することを。侯爵家でもないがしろにされ婚約者からも冷たい仕打ちしか受けない。もう我慢できない。今でもカリロンとライザは誰はばかることなくいっしょにいる。そのせいで自分は周りに格好の話題を提供して、今日の陰の主役になってしまったというのに。
そう思っていると、昔からの幼馴染であるこの国の次期国王となるジョイナス王子が、ナリスのもとにやってきた。どうやらダンスを一緒に踊ってくれるようだ。この好奇の視線から助けてくれるらしい。彼には隣国に婚約者がいる。昔は彼と婚約するものだと思っていたのに。
とある令嬢の婚約破棄
あみにあ
恋愛
とある街で、王子と令嬢が出会いある約束を交わしました。
彼女と王子は仲睦まじく過ごしていましたが・・・
学園に通う事になると、王子は彼女をほって他の女にかかりきりになってしまいました。
その女はなんと彼女の妹でした。
これはそんな彼女が婚約破棄から幸せになるお話です。
もう、愛はいりませんから
さくたろう
恋愛
ローザリア王国公爵令嬢ルクレティア・フォルセティに、ある日突然、未来の記憶が蘇った。
王子リーヴァイの愛する人を殺害しようとした罪により投獄され、兄に差し出された毒を煽り死んだ記憶だ。それが未来の出来事だと確信したルクレティアは、そんな未来に怯えるが、その記憶のおかしさに気がつき、謎を探ることにする。そうしてやがて、ある人のひたむきな愛を知ることになる。
(完結)だったら、そちらと結婚したらいいでしょう?
青空一夏
恋愛
エレノアは美しく気高い公爵令嬢。彼女が婚約者に選んだのは、誰もが驚く相手――冴えない平民のデラノだった。太っていて吹き出物だらけ、クラスメイトにバカにされるような彼だったが、エレノアはそんなデラノに同情し、彼を変えようと決意する。
エレノアの尽力により、デラノは見違えるほど格好良く変身し、学園の女子たちから憧れの存在となる。彼女の用意した特別な食事や、励ましの言葉に支えられ、自信をつけたデラノ。しかし、彼の心は次第に傲慢に変わっていく・・・・・・
エレノアの献身を忘れ、身分の差にあぐらをかきはじめるデラノ。そんな彼に待っていたのは・・・・・・
※異世界、ゆるふわ設定。
姉が私の婚約者と仲良くしていて、婚約者の方にまでお邪魔虫のようにされていましたが、全員が勘違いしていたようです
珠宮さくら
恋愛
オーガスタ・プレストンは、婚約者している子息が自分の姉とばかり仲良くしているのにイライラしていた。
だが、それはお互い様となっていて、婚約者も、姉も、それぞれがイライラしていたり、邪魔だと思っていた。
そこにとんでもない勘違いが起こっているとは思いもしなかった。
10日後に婚約破棄される公爵令嬢
雨野六月(旧アカウント)
恋愛
公爵令嬢ミシェル・ローレンは、婚約者である第三王子が「卒業パーティでミシェルとの婚約を破棄するつもりだ」と話しているのを聞いてしまう。
「そんな目に遭わされてたまるもんですか。なんとかパーティまでに手を打って、婚約破棄を阻止してみせるわ!」「まあ頑張れよ。それはそれとして、課題はちゃんとやってきたんだろうな? ミシェル・ローレン」「先生ったら、今それどころじゃないって分からないの? どうしても提出してほしいなら先生も協力してちょうだい」
これは公爵令嬢ミシェル・ローレンが婚約破棄を阻止するために(なぜか学院教師エドガーを巻き込みながら)奮闘した10日間の備忘録である。
幼なじみが誕生日に貰ったと自慢するプレゼントは、婚約者のいる子息からのもので、私だけでなく多くの令嬢が見覚えあるものでした
珠宮さくら
恋愛
アニル国で生まれ育ったテベンティラ・ミシュラは婚約者がいなかったが、まだいないことに焦ってはいなかった。
そんな時に誕生日プレゼントだとブレスレットを貰ったことを嬉しそうに語る幼なじみに驚いてしまったのは、付けているブレスレットに見覚えがあったからだったが、幼なじみにその辺のことを誤解されていくとは思いもしなかった。
それに幼なじみの本性をテベンティラは知らなさすぎたようだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる