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第20話

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ズドラ視点

 ロゼスの策を実行して、紅茶に毒を仕込んでから約一年が経過している。

 半年前にシルフとの婚約を破棄してから、俺の評判は地に落ちていた。

「まさかシルフの奴が、聖女だったとは……ロゼスの言うとおりスキルを隠していたのは間違いない!」

 シルフが聖女だと公表されて以降、ロゼスの機嫌は悪くなっている。

 このままだと何をするかわからず、不安になった俺はシルフを再び婚約者にしようと提案してしまう。

 シルフの奴はゼアンという子爵令息を新たな婚約者にしていたが、立場的に可能性はあると考えていた。

 それでも一蹴されてしまい……屈辱と後悔で、俺は苦しんでいる。

「ロゼスはシルフを何度も毒を使い消そうとしたが、全て失敗した……聖女の力とは最悪の相性だったのだろう」

 自信があった毒を無力化されたことで、ロゼスは苛立っている。

「ロゼスはシルフが聖女だと知って以降、何かを企んでいる……婚約者として、知っておかなければならない」

 シルフを消そうとしている行為は、聖女と公表した今は危険すぎる。

 貴族でも処刑される程で……聖女というのはそれほどまでの力があった。
 もうシルフとは関わるべきではないと考えながら、俺はロゼスの屋敷に向かう。

 そして――俺は、ロゼスの毒の真相を知ることとなっていた。
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