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第10話

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 私はゼアンが危険な目に合わないように、話をしておきたかった。

 聖女のスキルを隠しておきたかったから、毒については話せない。

 私は……ズドラが婚約者の私よりロゼスの方が好きで、婚約破棄を目論んでいることを説明する。
 
 魔法道具で話を聞いた限り間違いなくて、ゼアンと2人を関わらせたくなかった。

「ロゼス様とズドラ様は何をしてくるかわかりません……ゼアン様は、関わらない方がいいと思います」

 毒を使って消そうとしてきたことを言えば、毒の対処を聞かれてしまう。

 私が聖女なのは婚約破棄した後に公表した方が効果的だから、今は話したくなかった。

 ゼアンは私の発言に納得してくれて、頷いて話す。

「そうでしたか……シルフ様は、大丈夫なのですか」

「はい。2人の言動は把握していますので……ゼアン様が関わることで、予想外の行動をとられたくありません」

 私は聖女の力で問題ないけど、ゼアンは関わらせたくない。

 強い口調で言ってしまうけど、これはゼアンを心配しての発言だ。

「わかりました。もし協力できることがあるのなら、なんでも言ってください」

 ゼアンは納得しながらも、協力できることがあれば協力してくれるようだ。
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