7 / 28
第7話
しおりを挟む
昼休みになって――ロゼスの様子が、明らかにおかしくなっていた。
「ここまでして、どうしてシルフ様は平然と……それに、もう1つの策も潰されている?」
ロゼスは本以外の毒を仕掛けていた場所を調べたようで、毒が消えていることに驚いている様子だ。
恐らく毒で私を消すのが最善で、失敗しても私が毒を使ったことにするのがもう1つの策のはず。
席が少し離れている私でも聞こえる声でロゼスが呟いたかと思えば……苛立った様子のロゼスは、私の席までやって来る。
ズドラは焦りながら同行して、ロゼスの肩に手を置いて話す。
「ロゼス様、落ち着いてください」
ズドラの手と説得を振り払って、ロゼスは私を睨む。
「これが落ち着いていられますか! シルフ……貴方は何をしたの!?」
どうやら今日で確実に全てが終わると考えていたようで、無力化されるのは予想外だったらしい。
ロゼスは毒が消えていることから、私が毒を対処したと推測して叫んでいる。
それに焦りを覚えているのはロゼスの隣にいるズドラだけど、口が滑ることを警戒していそう。
もしロゼスが毒を仕掛けたことが周囲に知られれば……ズドラを消そうとした人が、毒を所持するロゼスになる。
ズドラは最悪の事態を想像していそうだと考えていると……私の元に、1人の少年がやって来た。
「ロゼス様、ズドラ様……シルフ様に、何かありましたか?」
理由を尋ねているけど、ロゼスが説明できるとは思えない。
少年は肩まで伸びた赤い髪、奇麗な緑の大きな瞳……長身で鍛えているのがよくわかる体つきをした美少年だ。
彼は子爵令息のゼアンで、私を心配して傍にきてくれたようだ。
「ここまでして、どうしてシルフ様は平然と……それに、もう1つの策も潰されている?」
ロゼスは本以外の毒を仕掛けていた場所を調べたようで、毒が消えていることに驚いている様子だ。
恐らく毒で私を消すのが最善で、失敗しても私が毒を使ったことにするのがもう1つの策のはず。
席が少し離れている私でも聞こえる声でロゼスが呟いたかと思えば……苛立った様子のロゼスは、私の席までやって来る。
ズドラは焦りながら同行して、ロゼスの肩に手を置いて話す。
「ロゼス様、落ち着いてください」
ズドラの手と説得を振り払って、ロゼスは私を睨む。
「これが落ち着いていられますか! シルフ……貴方は何をしたの!?」
どうやら今日で確実に全てが終わると考えていたようで、無力化されるのは予想外だったらしい。
ロゼスは毒が消えていることから、私が毒を対処したと推測して叫んでいる。
それに焦りを覚えているのはロゼスの隣にいるズドラだけど、口が滑ることを警戒していそう。
もしロゼスが毒を仕掛けたことが周囲に知られれば……ズドラを消そうとした人が、毒を所持するロゼスになる。
ズドラは最悪の事態を想像していそうだと考えていると……私の元に、1人の少年がやって来た。
「ロゼス様、ズドラ様……シルフ様に、何かありましたか?」
理由を尋ねているけど、ロゼスが説明できるとは思えない。
少年は肩まで伸びた赤い髪、奇麗な緑の大きな瞳……長身で鍛えているのがよくわかる体つきをした美少年だ。
彼は子爵令息のゼアンで、私を心配して傍にきてくれたようだ。
14
お気に入りに追加
1,257
あなたにおすすめの小説
王子様、あなたの不貞を私は知っております
岡暁舟
恋愛
第一王子アンソニーの婚約者、正妻として名高い公爵令嬢のクレアは、アンソニーが自分のことをそこまで本気に愛していないことを知っている。彼が夢中になっているのは、同じ公爵令嬢だが、自分よりも大部下品なソーニャだった。
「私は知っております。王子様の不貞を……」
場合によっては離縁……様々な危険をはらんでいたが、クレアはなぜか余裕で?
本編終了しました。明日以降、続編を新たに書いていきます。
【本編完結・番外編追記】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。
As-me.com
恋愛
ある日、偶然に「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言する婚約者を見つけてしまいました。
例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃりますが……そんな婚約者様はとんでもない問題児でした。
愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。
ねぇ、婚約者様。私は他の女性を愛するあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄します!
あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。
番外編追記しました。
スピンオフ作品「幼なじみの年下王太子は取り扱い注意!」は、番外編のその後の話です。大人になったルゥナの話です。こちらもよろしくお願いします!
※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』のリメイク版です。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定などを書き直してあります。
*元作品は都合により削除致しました。
護国の聖女、婚約破棄の上、国外追放される。〜もう護らなくていいんですね〜
ココちゃん
恋愛
平民出身と蔑まれつつも、聖女として10年間一人で護国の大結界を維持してきたジルヴァラは、学園の卒業式で、冤罪を理由に第一王子に婚約を破棄され、国外追放されてしまう。
護国の大結界は、聖女が結界の外に出た瞬間、消滅してしまうけれど、王子の新しい婚約者さんが次の聖女だっていうし大丈夫だよね。
がんばれ。
…テンプレ聖女モノです。
婚約者に「愛することはない」と言われたその日にたまたま出会った隣国の皇帝から溺愛されることになります。~捨てる王あれば拾う王ありですわ。
松ノ木るな
恋愛
純真無垢な心の侯爵令嬢レヴィーナは、国の次期王であるフィリベールと固い絆で結ばれる未来を夢みていた。しかし王太子はそのような意思を持つ彼女を生意気と見なして疎み、気まぐれに婚約破棄を言い渡す。
伴侶と寄り添う心穏やかな人生を諦めた彼女は悲観し、井戸に身を投げたのだった。
あの世だと思って辿りついた先は、小さな貴族の家の、こじんまりとした食堂。そこには呑めもしないのに酒を舐め、身分社会に恨み節を唱える美しい青年がいた。
どこの家の出の、どの立場とも知らぬふたりが、一目で恋に落ちたなら。
たまたま出会って離れていてもその存在を支えとする、そんなふたりが再会して結ばれる初恋ストーリーです。
婚約破棄の上に家を追放された直後に聖女としての力に目覚めました。
三葉 空
恋愛
ユリナはバラノン伯爵家の長女であり、公爵子息のブリックス・オメルダと婚約していた。しかし、ブリックスは身勝手な理由で彼女に婚約破棄を言い渡す。さらに、元から妹ばかり可愛がっていた両親にも愛想を尽かされ、家から追放されてしまう。ユリナは全てを失いショックを受けるが、直後に聖女としての力に目覚める。そして、神殿の神職たちだけでなく、王家からも丁重に扱われる。さらに、お祈りをするだけでたんまりと給料をもらえるチート職業、それが聖女。さらに、イケメン王子のレオルドに見初められて求愛を受ける。どん底から一転、一気に幸せを掴み取った。その事実を知った元婚約者と元家族は……
石塔に幽閉って、私、石の聖女ですけど
ハツカ
恋愛
私はある日、王子から役立たずだからと、石塔に閉じ込められた。
でも私は石の聖女。
石でできた塔に閉じ込められても何も困らない。
幼馴染の従者も一緒だし。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる