婚約者が毒を使って私を消そうとするけど、聖女だから効きません

第５話

　その後――何者かが毒を仕込んだことは、ズドラの屋敷で騒ぎになっていた。

　反応を見た限り、ズドラの屋敷にいた協力者は給仕の人だけのようだ。
　給仕の人は何者かに記憶を操作されて何も知らないことにして、雇われている優秀な魔法使いの人は、ズドラの説明を聞いて困惑している。

　相手が次期領主だから何も言わなかったけど、私を消そうとしていたと察していそう。

　屋敷の警備を強めることに決まって……これで同じ理由は使えず、私は紅茶に毒を仕込むことはないと考えていた。

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　翌日――私は部屋で、盗聴の魔法道具を使いズドラとロゼズの会話を聞いていた。

　ズドラの部屋は、誰にも話を聞かれない場所として都合がいいのかもしれない。
　私は会話を聞いているけど、盗聴の魔法道具を仕掛けていることを２人は想定していないようだ。

『なんとか誤魔化すことができましたけど、もう紅茶に毒を仕込むことはできそうにありません』

　ズドラが昨日の出来事を話して、ロゼスの声も聞こえる。

『そうですか……それでも、毒を使いシルフを消しましょう』

「どうやらロゼス様は、とにかく毒で私を消したいようですね」

　ロゼスの提案を聞き、私は呆れた声を漏らしながらも安堵している。

　刺客を雇い私を襲撃する可能性もあったけど、ロゼスは毒の手段で消したいようだ。

　毒にこだわる辺り、ロゼスは毒薬を手に入れやすいのかもしれない。

『あの毒の効果はとてつもなかったです……2度も飲んだシルフが平然としているのが、俺には理解できません』

　ズドラの焦った声が聞こえて、実体験だから強い口調だ。

　もうズドラは自分が毒で危険な目に合うのは嫌な様子で、ロゼスの声が聞こえる。

『私が用意する毒薬の効果は世界最高峰です……次は私が動くので、シフルは終わりに決まっています！』

　ロゼスが毒に自信を持っているのが気になるけど、私なら問題ない。

　聖女の力で毒を無力化できるけど――次の行動を知った私は、手を打とうと考えていた。