聖女の妹によって家を追い出された私が真の聖女でした

天宮有

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第5話

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ランダ視点

 エステルとの婚約を破棄してから、数日が経っている。
 新しい婚約者を聖女ザリカにすることはできたが、問題が発生しているようだ。

 婚約の手続きを済ませて、ザリカは聖女として城によく来ている。
 今日は玉座の間に俺と一緒に向かい、玉座に座る国王が話す。

「グーリサ家で採取した薬草に、毒草が混ざっていると報告を受けた」
「そんな!? 本当に私の家で採取した薬草なのですか!?」

 国王の発言を聞き、信じられないようでザリカが取り乱す。
 今まで起きたことのない問題が発生したことで、信用を失うことを恐れていると推測できた。

「私としてもザリカを信じたいが、被害が出た後に鑑定魔法が使える者を呼んで調べたから間違いない。これから薬草畑を調査するが構わないな?」
「うっっ……はい。調べてください」

 鑑定魔法が使えないザリカは、自分で確認することができず悔しそうだ。

 薬草畑に毒草が生えるのは普通のことで、見分けるか鑑定魔法が必要になる。
 どうやらザリカのグーリサ伯爵家の薬草は高品質だけど、最近は同じ見た目の毒草が混ざっているようだ。
 かなり似ているようで見分けることができず、今まで鑑定魔法を使わずに薬草だけ取引できたことがおかしかったらしい。

「これは……エステルを、追い出したからか?」

 原因について考えた俺は、思わず呟いてしまう。
 薬草畑の世話をしていたエステルをグーリサ伯爵家から追い出すと、問題が発生した。
 今なら国内にいる可能性が高く、捜索して連れ戻した方がよさそうだ。

 そんなことを考えていると、激怒したザリカが叫ぶ。

「ランダ様は何を言っているのですか! エステルは何もしていません!!」

 エステルの話をすると、ザリカは不機嫌になってしまう。
 俺に未練があると思ってしまうようで、国王に向かってザリカが言う。

「私が聖女になりランダ様と婚約して、バルラサ国のために力を使いたいと思うようになったからでしょう」
「グーリサ伯爵家のことを考えなくなったから、聖女の力を薬草畑に与えていなかったというのか?」
「その通りです! 聖女の私が思えば効果が現れますから、もう毒草は生えてきません!!」

 聖女は加護の力があり、周囲に恩恵を与えるらしい。
 それは聖女に決まる前の候補者の時点であったようで、薬草畑に毒草が生えなかったようだ。

 ザリカの発言を聞き国王は納得しているが……俺は、エステルが必要なのではないかと考えてしまう。
 その後も薬草畑に毒草が生え続け、ザリカの評判は下がっていた。
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