愛せないと言われたから、私も愛することをやめました

天宮有

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第29話

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ヴァン視点

 俺は魔法が使えないから、エイダにルレック領の鉱山を案内するだけだ。
 悪いのは全てサフィラだと、俺は強く恨むようになる。
 そして――俺の目の前には、意識を失い倒れているエイダの姿があった。

 ルレック領の鉱山を襲撃しようとしたのに、サフィラ達に先回りされてしまう。
 国宝の杖でも敵わず、取り乱した俺は叫ぶ。

「そんな……どうしてサフィラは、俺をここまで苦しめる!?」

「苦しんでいるのは、ヴァンの行動が原因でしょう」

 サフィラの発言は正しく、俺は何も言い返すことができなかった。

 恐らくこれから、俺は国王の元に連れて行かれるだろう。
 枷の力が増すから、城には戻りたくない。
 苦しむことは嫌で――俺は、サフィラに懇願していた。

「すまなかった! 俺はもう十分苦しんでいる! 見逃してくれぇっっ!!」

「嫌に決まっています。貴方は陛下の元に突き出しましょう」

 一心不乱に謝罪しても、サフィラの考えは変わらない。
 俺は頼むことしかできず、それは無意味な行動だった。
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