18 / 31
第18話
しおりを挟む
ヴァン視点
翌日になって、俺は魔法学園に登校していた。
今日で俺は退学となるが、授業を受けることはできるらしい。
登校しなくていいと言われていたが、俺は怪しまれないよう今まで登校していた。
明日には平民に成り下がり、魔法学園も退学となる。
毎日声をかけてきた生徒達は、今では誰も声をかけなくなっていた。
蔑むような視線を向けてきて――苛立ちを堪え、俺は決行の時を待つ。
「そろそろ時間か。俺を蔑んできた奴は、後で必ず後悔させてやる……」
授業中で生徒達は先生の授業を聞き、小声で俺が話す呟きは聞こえていない。
歯を軋ませて、本心を呟いてしまうが――全てはこの時のために、我慢してきたことだ。
「サフィラの魔法の実力は大したことがない。すり替えるぐらいなら余裕だろう」
サフィラが持っている杖と同じ形状をした魔法道具を、俺は眺める。
決意を強めた時――予定通り、教室中で白い霧が発生した。
霧が晴れることはなく、窓や扉も開かなくなっている。
それによって教室中がパニックに陥り、俺とエイダは動く。
「サフィラ! 大丈夫か!!」
俺は元婚約者という立場を利用して、サフィラを思わず心配する演技を見せる。
何度も練習していたから、声だけは迫真でいられた。
実際はサフィラを魔法で攻撃し、動きを止めて杖を替えるつもりだ。
ここまでエイダの計画は順調で、成功したと確信する。
上手くいったのはここまででーーサフィラの行動は、俺が予想していなかったものだった。
翌日になって、俺は魔法学園に登校していた。
今日で俺は退学となるが、授業を受けることはできるらしい。
登校しなくていいと言われていたが、俺は怪しまれないよう今まで登校していた。
明日には平民に成り下がり、魔法学園も退学となる。
毎日声をかけてきた生徒達は、今では誰も声をかけなくなっていた。
蔑むような視線を向けてきて――苛立ちを堪え、俺は決行の時を待つ。
「そろそろ時間か。俺を蔑んできた奴は、後で必ず後悔させてやる……」
授業中で生徒達は先生の授業を聞き、小声で俺が話す呟きは聞こえていない。
歯を軋ませて、本心を呟いてしまうが――全てはこの時のために、我慢してきたことだ。
「サフィラの魔法の実力は大したことがない。すり替えるぐらいなら余裕だろう」
サフィラが持っている杖と同じ形状をした魔法道具を、俺は眺める。
決意を強めた時――予定通り、教室中で白い霧が発生した。
霧が晴れることはなく、窓や扉も開かなくなっている。
それによって教室中がパニックに陥り、俺とエイダは動く。
「サフィラ! 大丈夫か!!」
俺は元婚約者という立場を利用して、サフィラを思わず心配する演技を見せる。
何度も練習していたから、声だけは迫真でいられた。
実際はサフィラを魔法で攻撃し、動きを止めて杖を替えるつもりだ。
ここまでエイダの計画は順調で、成功したと確信する。
上手くいったのはここまででーーサフィラの行動は、俺が予想していなかったものだった。
304
お気に入りに追加
1,478
あなたにおすすめの小説

婚約破棄された令嬢のささやかな幸福
香木陽灯
恋愛
田舎の伯爵令嬢アリシア・ローデンには婚約者がいた。
しかし婚約者とアリシアの妹が不貞を働き、子を身ごもったのだという。
「結婚は家同士の繋がり。二人が結ばれるなら私は身を引きましょう。どうぞお幸せに」
婚約破棄されたアリシアは潔く身を引くことにした。
婚約破棄という烙印が押された以上、もう結婚は出来ない。
ならば一人で生きていくだけ。
アリシアは王都の外れにある小さな家を買い、そこで暮らし始める。
「あぁ、最高……ここなら一人で自由に暮らせるわ!」
初めての一人暮らしを満喫するアリシア。
趣味だった刺繍で生計が立てられるようになった頃……。
「アリシア、頼むから戻って来てくれ! 俺と結婚してくれ……!」
何故か元婚約者がやってきて頭を下げたのだ。
しかし丁重にお断りした翌日、
「お姉様、お願いだから戻ってきてください! あいつの相手はお姉様じゃなきゃ無理です……!」
妹までもがやってくる始末。
しかしアリシアは微笑んで首を横に振るばかり。
「私はもう結婚する気も家に戻る気もありませんの。どうぞお幸せに」
家族や婚約者は知らないことだったが、実はアリシアは幸せな生活を送っていたのだった。

婚約破棄されないまま正妃になってしまった令嬢
alunam
恋愛
婚約破棄はされなかった……そんな必要は無かったから。
既に愛情の無くなった結婚をしても相手は王太子。困る事は無かったから……
愛されない正妃なぞ珍しくもない、愛される側妃がいるから……
そして寵愛を受けた側妃が世継ぎを産み、正妃の座に成り代わろうとするのも珍しい事ではない……それが今、この時に訪れただけ……
これは婚約破棄される事のなかった愛されない正妃。元・辺境伯爵シェリオン家令嬢『フィアル・シェリオン』の知らない所で、周りの奴等が勝手に王家の連中に「ざまぁ!」する話。
※あらすじですらシリアスが保たない程度の内容、プロット消失からの練り直し試作品、荒唐無稽でもハッピーエンドならいいんじゃい!的なガバガバ設定
それでもよろしければご一読お願い致します。更によろしければ感想・アドバイスなんかも是非是非。全十三話+オマケ一話、一日二回更新でっす!

婚約破棄のその後に
ゆーぞー
恋愛
「ライラ、婚約は破棄させてもらおう」
来月結婚するはずだった婚約者のレナード・アイザックス様に王宮の夜会で言われてしまった。しかもレナード様の隣には侯爵家のご令嬢メリア・リオンヌ様。
「あなた程度の人が彼と結婚できると本気で考えていたの?」
一方的に言われ混乱している最中、王妃様が現れて。
見たことも聞いたこともない人と結婚することになってしまった。

拝啓、王太子殿下さま 聞き入れなかったのは貴方です
LinK.
恋愛
「クリスティーナ、君との婚約は無かった事にしようと思うんだ」と、婚約者である第一王子ウィルフレッドに婚約白紙を言い渡されたクリスティーナ。
用意された書類には国王とウィルフレッドの署名が既に成されていて、これは覆せないものだった。
クリスティーナは書類に自分の名前を書き、ウィルフレッドに一つの願いを叶えてもらう。
違うと言ったのに、聞き入れなかったのは貴方でしょう?私はそれを利用させて貰っただけ。

あなたのことなんて、もうどうでもいいです
もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。
元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。

婚約して三日で白紙撤回されました。
Mayoi
恋愛
貴族家の子女は親が決めた相手と婚約するのが当然だった。
それが貴族社会の風習なのだから。
そして望まない婚約から三日目。
先方から婚約を白紙撤回すると連絡があったのだ。

そんなに優しいメイドが恋しいなら、どうぞ彼女の元に行ってください。私は、弟達と幸せに暮らしますので。
木山楽斗
恋愛
アルムナ・メルスードは、レバデイン王国に暮らす公爵令嬢である。
彼女は、王国の第三王子であるスルーガと婚約していた。しかし、彼は自身に仕えているメイドに思いを寄せていた。
スルーガは、ことあるごとにメイドと比較して、アルムナを罵倒してくる。そんな日々に耐えられなくなったアルムナは、彼と婚約破棄することにした。
婚約破棄したアルムナは、義弟達の誰かと婚約することになった。新しい婚約者が見つからなかったため、身内と結ばれることになったのである。
父親の計らいで、選択権はアルムナに与えられた。こうして、アルムナは弟の内誰と婚約するか、悩むことになるのだった。
※下記の関連作品を読むと、より楽しめると思います。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる