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第9話
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私がリノーマ侯爵家を出てから、数ヶ月が経っていた。
屋敷にモグルド王子がやって来たようで、私は驚いている。
1人で屋敷に来たようだけど、同行していた護衛の人達はここに来るまでに逃げたり見捨てられたようだ。
応接室で対面すると、モグルドは私に頭を下げて叫ぶ。
「今までのことは全て謝ってやる! ルナは龍人に国を守るよう頼んでくれ!」
ヒュームの魔法で嘘がつけず、モグルドは本心を話す。
私はいらない婚約者と言われてから、ドリウース国がどうでもよくなっていた。
ヒュームからは元妹ヒリスを助けるべきか聞かれたけど、助けなくていいと私が言った。
亡くなったと報告を聞いても、今までの言動を思い出すと悲しむこともない。
モグルドは国王に説得するよう命令されたようで、私は返答する。
「お断りします――モグルド、貴方はいらない元婚約者です」
「ぐっっ! まだ昔のことを気にしているのか! いい加減に――」
「――いい加減にして欲しいのは俺達の方だ。力尽くで追い出しても構わないのだぞ?」
ヒュームの発言を聞き、モグルドは応接室から逃げ去って行く。
私を説得できると確信してここまで来たようだけど、モグルドを助ける気はない。
この後モグルドが、魔界で生きていけるとは思えない。
関わりたくないから……モグルドの末路がどうなっても、私は構わなかった。
屋敷にモグルド王子がやって来たようで、私は驚いている。
1人で屋敷に来たようだけど、同行していた護衛の人達はここに来るまでに逃げたり見捨てられたようだ。
応接室で対面すると、モグルドは私に頭を下げて叫ぶ。
「今までのことは全て謝ってやる! ルナは龍人に国を守るよう頼んでくれ!」
ヒュームの魔法で嘘がつけず、モグルドは本心を話す。
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ヒュームの発言を聞き、モグルドは応接室から逃げ去って行く。
私を説得できると確信してここまで来たようだけど、モグルドを助ける気はない。
この後モグルドが、魔界で生きていけるとは思えない。
関わりたくないから……モグルドの末路がどうなっても、私は構わなかった。
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