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第57話

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ルグド視点

 城から出た時点で、アリザがロガムラ国に戻ると予測できている。
 リルーガ公爵が雇った者達は、連絡を受けてすぐアリザを捕らえるため行動しているようだ。

 馬車はアリザの元へ向かっているようで、捕える姿を俺に見せたいらしい。
 力の差を理解させることで、シェムに逆らわなくさせるつもりのようだ。
 数分が経ち、ダリオが俺に話す。

「人が多い場所だと、逃げられてしまうかもしれません。待ち伏せして、王都から出た際を狙うようです」

 複数人が魔法を扱うから、戦う場所は広い方がいいようだ。
 アリザを愚かな側妃とリルーガ公爵は考えていないようで、冒険者時代の活躍から実力を把握している。
 雇った4人の精鋭なら、アリザを問題なく捕えることができるようだ。

「……リルーガ公爵が雇った者は4人か。アリザを捕えるのなら、少なすぎないだろうか?」
「人数を増やすと裏切る人が出るかもしれません。リルーガ様に忠誠を誓い、連携ができる人達です」

 リルーガ公爵としてはアリザを捕えて、シェムに謝罪させるつもりでいるらしい。
 それだけのために準備をしていたようで、ダリオが言う。

「シェム様に頼まれたみたいです。リルーガ様は娘を溺愛しすぎですが、その後はアリザ様を従えた方がいいでしょう」
「そうだな。リルーガ公爵には、アリザが改心してシェムに尽くしているということにすればいい」

 リルーガ公爵は、アリザを捕えるため魔法使いの精鋭達を雇っている。
 戦力的に問題ないと確信していたのに――アリザの傍にカイン王子がいることを、この時の俺達は知らなかった。
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