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第55話

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ルグド視点

 玉座の間で、俺はアリザの発言を思い返して唖然としていた。

「苦しんでいる姿を見に来ただと……クソッッッ!!」

 城内の者はリルーガ公爵家に従う者達ばかりで、関わりたくないから周囲には誰もいない。
 そのせいでアリザを捕えるよう命令できず嘆いていると、目の前に一人の青年がやって来た。

「まさか本当に、アリザ様が来るとは思いませんでした」
「ダリオ……俺を監視していたのなら、アリザを捕えることもできただろう!」

 アリザが出て行ってからすぐ、扉を開けて護衛のダリオが現れる。
 部屋の外で何かあればやって来ると聞いていたが、来るのが遅すぎた。

 ダリオはリルーガ公爵に従っている者で、護衛となっているが俺の監視役で間違いない。
 文句を言うと、ダリオの発言に驚くことになる。

「アリザ様の向かう場所を、リルーガ様は把握しています」
「なに? どういうことだ!?」
「後で話します。これからアリザ様を捕える予定になっておりますので、ルグド様も同行してください」

 リルーガ公爵はアリザの居場所を知っていて、ムーディス国から出る前に捕えるらしい。
 そこまではわかるが、どうして俺を同行させるのかがわからない。

「ルグド様に、リルーガ公爵家の力を見せつけたいようです」

 困惑していると、ダリオが理由を話す。
 その後――俺は案内されて馬車に乗り、アリザの元へ向かう。
 リルーガ公爵はアリザが他国にいると知り、捕えようと準備していたようだ。
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