愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます

第４４話

ルグド視点

　アリザを廃妃にしてから、数ヶ月が経っていた。

　シェムの父リルーガ公爵の行動により、俺は精神的に追い詰められている。
　公爵家の嫌がらせによって、俺の評判は下がっていた。

　今は廃妃の誓約書を利用して、全てアリザが悪いと思わせようとしている。
　それを信じる者は少ないが、今の俺にはそんなことしかできなかった。

　玉座の間にリルーガ公爵がやって来て、対面している俺に尋ねる。

「そろそろシェムを城に戻そうと思うが、考えを変えることはできそうか？」
「はい……全て俺と、愚かな側妃のアリザが悪いと理解しました」

　リルーガ公爵に恐怖して、俺は従うしかない。
　城に雇われていた者も、今では半数以上がリルーガ公爵家に従う者達に変わっている。
　辞めた者が多く、新しく雇った者は全てシェムを崇拝している辺り察することができていた。

「シェムも落ち着いてきたようだ。来月には城に戻すから、それまでに準備をしておけ」
「……わかりました」

　もうムーディス国は、シェムの家族リルーガ公爵家に支配されている。
　現状を打破する方法があるとすれば、アリザを側妃に戻すしかなさそうだ。