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第40話
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ゴードンは、私とカインにムーディス国の王妃シェムの過去を話そうとしていた。
シェムが王妃になる前――お茶会に参加した貴族令嬢は、リルーガ公爵家の傘下にある人達だった。
暴言にも慣れていたようで、楽しい時間を過ごせていたらしい。
今までは問題なかったのに、王妃となってから他国の貴族令嬢と話したいと言い出したようだ。
「シェムに失言や暴言が多かったのは、今までリルーガ公爵家に従う令嬢達としか話していなかったからですか」
「王妃となった後のシェムはアリザが正したり直して話していたが、それもシェムにとっては気に入らなかったようだ」
「……話を聞いていると、シェム王妃は聞いていた以上にとんでもないな」
私とゴードンの話を聞き、カインはシェムに対して呆れている。
今までは私について話してただけで、シェムについて詳しく話していなかった。
私がフォローしていた時は、周囲の評判もよくてシェムはいい思いができた。
その心地よさを思い出したいようだけど、私がいないのだから不可能に決まっている。
「シェムが教育係から学べばいいだけなのに……それを理解しない辺りが愚かです」
私は呟き、もうムーディス国と関わる気がない。
そのつもりでいたけど――どうやらルグドは、全て私が愚かな側妃だったせいと言い広めているようだ。
シェムが王妃になる前――お茶会に参加した貴族令嬢は、リルーガ公爵家の傘下にある人達だった。
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今までは問題なかったのに、王妃となってから他国の貴族令嬢と話したいと言い出したようだ。
「シェムに失言や暴言が多かったのは、今までリルーガ公爵家に従う令嬢達としか話していなかったからですか」
「王妃となった後のシェムはアリザが正したり直して話していたが、それもシェムにとっては気に入らなかったようだ」
「……話を聞いていると、シェム王妃は聞いていた以上にとんでもないな」
私とゴードンの話を聞き、カインはシェムに対して呆れている。
今までは私について話してただけで、シェムについて詳しく話していなかった。
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その心地よさを思い出したいようだけど、私がいないのだから不可能に決まっている。
「シェムが教育係から学べばいいだけなのに……それを理解しない辺りが愚かです」
私は呟き、もうムーディス国と関わる気がない。
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