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第35話

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ルグド視点

 リルーガ公爵家の領主が城にやって来て、俺は焦るしかない。
 ムーディス国で最も権力がある男で、敵に回したくなかったからだ。

 玉座の間で、リルーガ公爵と対面する。
 威圧感に怯みそうになってしまうと、俺に対してリルーガ公爵が話す。

「愚かな側妃を廃妃にした後、シェムがルグドに虐げられていると聞いた」
「そんな……俺はシェムを愛しています!」
「愛しているだと? 今まで泣きついてこなかったのに、側妃を廃妃にしてからだ!」

 リルーガ公爵の発言を聞き、俺は困惑してしまう。
 アリザが助けていたから、シェムは今まで何も問題を起こしていない。
 それなのに……それを認めたくないのか、シェムを俺が虐げていることにしたようだ。

「待ってください! それはアリザが優秀で、シェムが劣っていたからです!」
「劣っていただと! お前は私の娘を侮辱するというのか!!」

 動揺したせいで本音が出てしまい、リルーガ公爵が更に激怒する。
 発言から虐げていると思われてもおかしくなくて、俺は追い詰められていた。
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