愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます

天宮有

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第32話

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ルグド視点

 宰相ノースの報告を聞き、俺は急いでシェムの元へ向かう。
 そして、王妃のシェムが隣国の王妃を平手打ちしたと知り、唖然とするしかなかった。

 俺が別行動している間に、とんでもないことが起きている。
 急いでシェムの元へ向かうと――そこには、取り押さえられているシェムの姿があった。

 シェムの言い分では、発言から明らかに見下されていたらしい。
 そして思わず手が出たようだが、叩く直前に冷静になって思い留まろうとする。
 それでも隣国の王妃は止まった手が当たったようにみせて、大げさに床に倒れたようだ。

 俺に向かってシェムが説明すると、傍にいた他国の王妃が話す。

「シェム様がなんと言おうと、叩いたのは間違いありません。今回は大勢の人達がシェム様の行動を目にしております」
「挑発されて思わず手が出そうになっただけ! 私は叩いていません!!」

 発言的に、隣国の王妃はシェムがお茶会で暴力を振るったと耳にしたのかもしれない。
 挑発して慰謝料をもらおうとしたのかもしれないが、どうしてそんなことをするのか理由がわからなかった。

 困惑していると、隣にやってきた宰相ノースが小声で言う。

「……今まではアリザ様がいたから、シェム様は守られていました」

 発言を聞いた俺は、アリザが必要だったと再確認することとなる。
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