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第18話
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ルグド視点
俺はシェムの部屋に行き、アリザを廃妃にしたことを報告した。
誓約書の魔法道具を見せて、同じ紙をアリザも所有している。
俺の魔力によるサインだから本人の証明となり、捏造と言い張ることはできなかった。
誓約書を見たシェムは、嬉々として俺に話す。
「アリザは反省しなかったようですね。愚かな側妃だから当然です!」
「そ、そうだな。シェムはムーディス国のために提案してくれた、ありがとう」
「お礼を言われることではありません。いつも傍にいるアリザは邪魔だと思っていました」
褒めて伸ばすつもりでいたが、シェムの発言に苛立ってしまう。
どうやらアリザが傍で助言していた行動を邪魔と考えているようで、変わる気がなさそうだ。
それでもシェムの家族を敵に回したくないから、俺は賛同するしかない。
上機嫌な間に、今後の方針を決めておきたかった。
「お茶会の出来事が騒ぎになっているから、来月のパーティは出ない方がいいだろう」
「いいえ。評判が悪いのは私に嫌な顔をした人のせいですし、パーティに出ることで私は悪くないと知ってもらいましょう」
「ぐっっ……そ、そうか。わかった」
来月あるパーティに出したくなかったのに、シェムは乗り気で嫌になる。
俺はアリザを廃妃にすると言ったことを強く後悔して――これから、シェムの愚かさを更に知ることとなる。
俺はシェムの部屋に行き、アリザを廃妃にしたことを報告した。
誓約書の魔法道具を見せて、同じ紙をアリザも所有している。
俺の魔力によるサインだから本人の証明となり、捏造と言い張ることはできなかった。
誓約書を見たシェムは、嬉々として俺に話す。
「アリザは反省しなかったようですね。愚かな側妃だから当然です!」
「そ、そうだな。シェムはムーディス国のために提案してくれた、ありがとう」
「お礼を言われることではありません。いつも傍にいるアリザは邪魔だと思っていました」
褒めて伸ばすつもりでいたが、シェムの発言に苛立ってしまう。
どうやらアリザが傍で助言していた行動を邪魔と考えているようで、変わる気がなさそうだ。
それでもシェムの家族を敵に回したくないから、俺は賛同するしかない。
上機嫌な間に、今後の方針を決めておきたかった。
「お茶会の出来事が騒ぎになっているから、来月のパーティは出ない方がいいだろう」
「いいえ。評判が悪いのは私に嫌な顔をした人のせいですし、パーティに出ることで私は悪くないと知ってもらいましょう」
「ぐっっ……そ、そうか。わかった」
来月あるパーティに出したくなかったのに、シェムは乗り気で嫌になる。
俺はアリザを廃妃にすると言ったことを強く後悔して――これから、シェムの愚かさを更に知ることとなる。
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