愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます

天宮有

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第14話

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 私は誓約書とペンの魔法道具を取り出し、ルグドにサインさせようとしていた。

 拒んだとしても、魔石があるから構わない。
 音声の記録をした魔石は使い続けると壊れてしまうから、誓約書の方がよかっただけだ。

 誓約書にサインをすれば、ペンの魔法道具で書いた文字だけで本人の証明となる。
 それを知っているから、ルグドは動揺して叫ぶ。

「誓約書にサインをすれば廃妃を完全に認めることとなる! そんなことできるわけがない!」
「それなら記録した発言を、貴族の人達に知ってもらうだけです」
「ぐっっ……お前の発言よりも、国王である俺の発言を信じるに決まっている! お前は俺に従え!」
「今の発言も公表すれば、ルグド殿下を信じる人はいなくなりそうですね」
「うぐぅっっ!?」

 魔石が1個だと思っていたようだけど、私は商会と関わっている。
 複数入手しているし、焦りによる失言も記録できた。

 茫然としているルグドに対して、私は提案する。

「誓約書の魔法道具にサインするのでしたら、発言を記録した魔石はこの場で破壊しましょう」
「本当か!?」
「はい。誓約書にサインするのならです」

 もう廃妃になることは確定で、どう広められるかだ。

 ルグドは納得していないけど、廃妃にすると断言した発言を貴族の人達に広められる。
 それか誓約書でお互い同意をして廃妃となるかの選択で――ルグドは、私に頭を下げた。

「今まで悪かった! 側妃のままでいてくれぇっっ!!」
「誓約書にサインする気がないのでしたら、発言を広めるだけです」
「ぐぅっっ!? クソッッ! サインすればいいのだろう!!」

 ルグドは私に謝って許されようとしたけど、その選択は認めない。
 誓約書に自らの魔力でサインして、私は廃妃となっていた。
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