愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます

天宮有

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第10話

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ルグド視点

 アリザが変わってしまってから、数日が経っていた。

 昨日はお茶会があり、シェムは乗り気で俺は拒むことができない。
 アリザはいないが、正妃という立場で失言は気にされないだろうと昨日までは考えていた。

 それなのに……シェムはお茶会で暴言を吐き、更に暴力を振るう。
 発言が不快で顔に出てしまっただけなのに平手打ちをしたと報告を聞き、俺は愚かさに恐怖していた。

 シェムは反省する気がなくて、傍にアリザがいなければならない。
 愚かな側妃と言うようになってから、全てがおかしくなっている。
 それに憤った俺はアリザのいる部屋に向かうことにして、誰もいない廊下を歩きながら呟く。

「アリザがいないと、シェムはあそこまで愚かなのか……クソッッ!」

 昨日のシェムの言動を聞き、何をしても変えることは無理だと考えていた。
 とにかく話し合おうとして、俺はアリザを発見する。
 城の外に出られる前に、俺は止めようとして叫ぶ。

「アリザよ。お前は今日どこへ行く気だ!」
「どこでもいいでしょう。私は愚かな側妃で、今まで場所を聞かれませんでした」

 愚かな側妃――俺が捏造して広めた悪評だが、アリザ自身が言うことに苛立ってしまう。
 昨日から考えていた理由を、俺はアリザに言うことにした。

「ぐっっ……昨日はシェムがお茶会に招待されて大変だった! このままだと側妃であるお前の評判も落ちるぞ!」

 評判が落ちると言えば従うと、この時の俺は考えている。
 それなのにアリザは冷静で、返答に驚くこととなる。

「評判を落とすって、愚かな側妃より下はないでしょう」
「なっっ!?」
「助ける気はありません。悪いのはシェム様を正妃にした方です」

 そう言って、アリザは城から出ていこうとしていた。

 力尽くで止めたいと考えてしまうが、行動できないのはアリザの方が俺よりも遥かに強いからだ。
 そんなことを考えている間に城から出ていき、俺は立ち尽くしていた。

 アリザの発言に憤り、どうすればいいのか考える。
 やはり廃妃にすると脅し、従えた方がいいと思うようになっていた。
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