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第9話

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 シェムが部屋から出て行き、これからルグド王に私を廃妃にして欲しいと頼むようだ。

 私としては望んでいることで、ルグドはシェムの頼みを拒もうとするはず。
 もしシェムの頼みを拒むのなら、公爵家と問題を起こしそうだ。

 部屋で1人になった私は、これからのことを考えて呟く。

「ルグド王がシェムを怒らせるか、私を廃妃とするか……どちらでも構いませんけど、廃妃の方がいいですね」

 平民になれば遠くにあるロガムラ国へ行き、病で苦しんでいる王女を魔法で治すことができる。
 ゴードンの商会経由で説明してくれれば、万能薬の効力から会わせてくれるはずだ。

 私の魔法を知っている宰相ノースなら止めてきそうだけど、最近は城にいなかった。

「宰相ノースは、私が何も活動しなくなったことで忙しいんでしたっけ」

 最近は城にいない日の方が多くなっているから、ルグドの傍に宰相がいない。
 今までは廃妃にしないよう宰相が止めていて、ルグドは私に対して「廃妃にする」と脅せば従うと考えているなら……その発言を記録して、証拠にできそうだ。

「我慢することをやめてから、私はムーディス国のために何もしていませんからね。ルグドが脅してきてもおかしくはありません」

 シェムを王妃らしくすることもできず、日が経つにつれてルグドは不安になっていく。
 脅せば最悪の事態になるかもれないのに、私が従う未来をルグドは想像しているはず。
 それなら……1度は脅そうとしてくるかもしれないし、その発言だけで私の望み通りになりそうだ。

「脅してくれば城から出ていけますけど……シェムが愚か過ぎますから、ルグドとしては私を追い出したくないはず。廃妃と言うことはなさそうですね」

 今までの言動を思い返すと、ルグドはシェムの頼みを拒むとこの時は考えてしまう。
 そして数日後――私は、側妃でなくなろうとしていた。
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