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第8話
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万能薬を作り終えた後、私は商会で談笑して夕方に城へ戻っていた。
部屋に戻ろうとした時、私の前にシェムがやって来る。
今までシェムの方から関わってきたことはなかったけど、私に向かって話し出す。
「今日もアリザは、愚かな側妃らしく外で遊んでいたようね」
「シェム様、何か用ですか?」
「能天気で愚かな側妃のアリザを、注意しに来ただけよ」
そんなことを言い出すけど、今まで注意しに来たことは一度もない。
昨日のお茶会での行動が恥ずかしくなり、気晴らしに私を蔑みたくなったのだろうか?
シェムは私を見下してきたから、昨日の出来事について聞くことにする。
「注意されたのは、昨日のお茶会で評判を落としたシェム様の方でしょう」
「はぁっ!? アリザは何を言っているの!?」
「昨日は大変だったと、今日ルグド様がおっしゃっていました」
「えっ……そんなの嘘よ! ルグド様がそんなこと言うわけないわ!!」
取り乱すシェムだけど、ルグドは注意していなかったようだ。
シェムの家はムーディス国で最も力のある公爵家のようで、恐れているのかもしれない。
私は何をされても国外に行けば問題ないと思っているから、シェムに言いたいことが言えた。
「それなら陰で言われているのですね。私以外の人にも話しているかもしれません」
「うっっ……私の話を聞いて嫌な顔をした方が悪いのよ! 叩くのは当然でしょう!」
昨日の行動を反省していないようで、私は呆れながら尋ねる。
「失言に暴力、教育係の人を辞めさせたというのに、シェム様は自分が悪くないと思っているのですか?」
「うるさいわね! 私がその気になればルグド様に頼んで廃妃にできるのよ!」
「それなら頼んでみたらどうですか? 頼まれたルグド様は、嫌な顔をシェム様に向けそうです」
未来の話をしてきたから、私も未来の話をしてみる。
脅しても平然として、更に私の発言を聞き状況を想像したシェムは顔を赤くして叫ぶ。
「絶対に城から追い出してやるわよ! 覚悟しておきなさい!」
シェムは激昂して、これからルグド王に私を廃妃にするよう頼みそうだ。
それはむしろ好都合で、私はなにも気にしていなかった。
部屋に戻ろうとした時、私の前にシェムがやって来る。
今までシェムの方から関わってきたことはなかったけど、私に向かって話し出す。
「今日もアリザは、愚かな側妃らしく外で遊んでいたようね」
「シェム様、何か用ですか?」
「能天気で愚かな側妃のアリザを、注意しに来ただけよ」
そんなことを言い出すけど、今まで注意しに来たことは一度もない。
昨日のお茶会での行動が恥ずかしくなり、気晴らしに私を蔑みたくなったのだろうか?
シェムは私を見下してきたから、昨日の出来事について聞くことにする。
「注意されたのは、昨日のお茶会で評判を落としたシェム様の方でしょう」
「はぁっ!? アリザは何を言っているの!?」
「昨日は大変だったと、今日ルグド様がおっしゃっていました」
「えっ……そんなの嘘よ! ルグド様がそんなこと言うわけないわ!!」
取り乱すシェムだけど、ルグドは注意していなかったようだ。
シェムの家はムーディス国で最も力のある公爵家のようで、恐れているのかもしれない。
私は何をされても国外に行けば問題ないと思っているから、シェムに言いたいことが言えた。
「それなら陰で言われているのですね。私以外の人にも話しているかもしれません」
「うっっ……私の話を聞いて嫌な顔をした方が悪いのよ! 叩くのは当然でしょう!」
昨日の行動を反省していないようで、私は呆れながら尋ねる。
「失言に暴力、教育係の人を辞めさせたというのに、シェム様は自分が悪くないと思っているのですか?」
「うるさいわね! 私がその気になればルグド様に頼んで廃妃にできるのよ!」
「それなら頼んでみたらどうですか? 頼まれたルグド様は、嫌な顔をシェム様に向けそうです」
未来の話をしてきたから、私も未来の話をしてみる。
脅しても平然として、更に私の発言を聞き状況を想像したシェムは顔を赤くして叫ぶ。
「絶対に城から追い出してやるわよ! 覚悟しておきなさい!」
シェムは激昂して、これからルグド王に私を廃妃にするよう頼みそうだ。
それはむしろ好都合で、私はなにも気にしていなかった。
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