別れたいようなので、別れることにします

天宮有

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第7話

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 私が本来の実力を発揮したことは、学園内でも噂になっていた。

 サーノラ伯爵家の令嬢に相応しい力を持っていて、今までは婚約者のルグド王子のせいで力を抑えている。
 ルグドは自分が言い広めた噂のせいで評判が悪くなり、1週間が経っていた。

 昼休みになって、ルグドは取り巻きと話している。
 
「俺はアリザの力を知っていたが、力を抑えるように命令していた。力を抑える修行の成果が発揮されたようだ」

 開き直ったルグドは、自分の功績にしたいようだ。
 学園内でよくなった私の評判を知り、婚約破棄は冗談だったことにしたいらしい。
 ルグドが私の席に来て、不機嫌そうな表情で話す。

「アリザは王子である俺の婚約者だ。そうだろう?」

「ルグド殿下。貴方との婚約は破棄されています」

「ぐっっ……あれは冗談だったと、お前が父上に言えばまだどうとでもなる! 王子である俺の命令だ!」

 こうなることは予想できていたから、準備はしている。
 そして――私が話す前に、教室にカインがやって来ていた。

 2学年上で公爵令息のカインが教室に入ったことで、周囲が騒ぎになる。
 そして私の席に来て――驚いているルグドに対して、カインが告げた。

「教室の外でも叫び声が聞こえていましたよ。ルグド殿下――今のアリザ様は、俺の婚約者です」

「はぁっ……な、何を言っている!? そんなわけないだろう!?」

 カインの発言を聞いて、ルグドは取り乱す。
 ルグドは再び私の婚約者に戻るかもしれないと、カインが提案してくれたことだ。
 
 私はカインの婚約者になれたから、もうルグドと婚約することはなかった。
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