無能だと言われ続けた聖女は、自らを封印することにしました

第３０話

　私はリカルドから、封印で何も知らない３年間を聞いていた。
　大体ローノック国の自業自得だけど……話の中で、1番気になっていることを尋ねる。

「王都の方角から発生した膨大な魔力って……リカルドは何も感じ取れなかったの？」

「はい。基本的にこの森にいたからなのかもしれませんけど、私は察知することができていません」

　自分が体感していないから、リカルドは半信半疑の様子だ。
　
「……ちょっと、調べてみるわね」

　そう言って私は王都の方向に意識を集中させると……膨大な魔力を感じ取ることができている。
　今は魔力を巧妙に隠しているようだけど、膨大な魔力を備えた人なのかわからない存在があった。

　そして――その魔力の膨大さに、私は封印が解けて一番驚くこととなる。

「……とんでもない魔力を持った存在が、王都にいるわ」

「そこまでわかるのですか？」

「ええ。なにか怪しい研究をしていたのか、召喚魔法で化物を呼び出したのか……推測はいくらでもできるけど、詳しくはわからないわ」

　とてつもなく膨大な魔力だけど、感じ取ってから大きな事件は起きていないようだ。
　弱かったモンスターが急激に強くなって国を襲うようになったのは、聖女が変わったからで間違いない。

　魔力を感じ取ってから今まで何も起きていないのなら、問題ないはず。
　この時の私がそう考えたのは、迷惑を被るとしてもローノック国だけだと考えていたからだ。