私との婚約を破棄して問題ばかり起こす妹と婚約するみたいなので、私は家から出ていきます

天宮有

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第38話

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ランドン視点

 ルーミスを別人にしてから数日後――マドルオの腕は本物だった。

 俺は男爵令嬢のアリエスを屋敷に招待して、アリエスの家族とルラック家、俺の家族同士で話し合う。

 今日はルーミスに謝罪をさせようと考え、疑似人格のテストでもあった。

 アリエスの家族に俺達は謝罪して、アリエスはルーミスの変化に驚いている。

「――アリエス様。今までの無礼、大変申し訳ありませんでした」

 今までのように睨むことはせず、心から悲しそうな表情でルーミスが謝罪する。
 
 ルーミスを知っていると明らかに異質で、俺は戦慄してしまった。

 不気味だと考えて――どうやらアリエスも、同じ気持ちのようだ。

「あ、あの……失礼を承知で尋ねますが、本当にルーミス様ですか?」

「はい。私はルーミス・ルラック。ランドン・シタート様の婚約者です」

 やけに説明的に話したことに焦るが、この程度は仕方ないと割り切るしかない。

「アリエス様、ルーミスは自分の過ちを知ったのです」

「そうでしたか……わ、わかりました」

 顔が引きつりながらも、アリエスは納得してくれたようだ。 

 禁魔法による疑似人格は、本人の記憶を利用して礼儀正しい対応ができている。
 本人の意志は封印されていると聞いているが、アリエスと話をしても目覚めることはない。

 魔法で作られた疑似人格のテストは問題なく、安堵した俺は小声で呟く。

「よし……これなら、次のパーティも大丈夫のはずだ」

 この時――ルーシーと再会することになるなんて、俺は一切考えていなかった。
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