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七章 パロマ帝国編
107話 討伐
しおりを挟むオルハと2人で水晶を起動して、転移で到着したのは荒地の岩壁の陰だった。地面は粒子の細かい砂で、砂浜のようにサラサラしている。切り立った岩が僕を見下ろしており、その大きさに圧倒された。
背の低い雑草は所々生えているが、木々に緑は一切無く一見すると枯れているのではと見紛う。
耕作に適さない厳しい環境の為か、一部の植物しか生息していない。後は見渡す限り岩と砂ばかりの土地だ。
『靴に砂が入っちゃった』
「しー、黙れ。偵察隊が居ンだよ」
オルハは前を歩きながら人差し指を立てる。暫く壁伝いに歩くと、人の気配がした。
「オルハロネオ様…!」
「変わりねェか?」
「あ…ブルクハルトの」
「アルバラード様、ご協力感謝申し上げます」
率先して僕が雷神龍を討伐するみたいになってる。困ったように笑う僕を置いてきぼりに、オルハは偵察隊の人と言葉を交わしていた。
「…分かった。テメーらは下がれ。人数が余ってンなら、近くの街の警護に回れ。何が起こるか分かンねェからな」
「畏まりました。不要かと思いますが御二方のご武運をお祈り致します」
お辞儀をして下がった偵察隊の人達とは逆の道を進む。次第にオルハの動きが慎重になり、少し緊張してきた。
一枚岩を切り開いた道の先に、広い空間が広がっていた。そこら中に獣や魔物の骨が転がっていて、息を飲む。
断崖絶壁の麓に窪みが出来ており、そこに雷神龍らしきドラゴンが眠っていた。
岩のような紺色の体に、蒼い稲妻型の角を持ったドラゴンだ。大きさは頭から尻尾まで3mくらい。まだ幼いからか、本の挿絵みたいにイカつい感じはしない。
『なんか…可愛いね』
「はァ?アホか。まだ幼獣だからそう思うのかもしんねーけど、ああ言うハグレはさっさと殺さねェと危ねェ」
ハグレとは、何らかの形で親離れするべき時期より早く親や群れから逸れてしまった魔物を指す。そのまま成長したハグレ魔物は気性が荒く凶暴で、人を怖がらないので厄介だ。
「雷神龍のハグレとか…本当クソッタレだぜ」
『珍しいのかい?』
「嗚呼、奴らは身内に執着すっからな」
『まるでオルハみたいだね』
「あ゛?」
最後の濁声は効かない振りして、僕はドラゴンの観察を続ける。クルルル…と寝息が聞こえてきて、鋭い爪を持った前脚がピクピク動いた。(夢でも見ているのかな)
すると突然、何の前触れも無く雷神龍が跳ね起きた。これにはオルハも驚きを隠せずに「クソ」と悪態を吐く。
あと少しで先制攻撃を浴びせる事が出来た為、歯痒く感じているようだ。
上体を起こすと僕の今の背丈を裕に越え、その凶悪な大きさに足が竦む。侵入者を映すサファイアの瞳には憤怒が燃えていた。大きな咆哮が響き、地面がビリビリと揺れる。
「…チッ。しゃーねェ!さっさとブッ殺してやるぜッ!」
『頑張れー』
「テメーは本当にクソビビリの玉無し野郎だな!?」
オルハは岩陰から応援する僕に鋭いツッコミを寄越す。僕が臆病でビビリなのは周知の事実なので気にしない。
雷神龍が羽を広げると更に巨大に見える。(これでも幼獣なんだね)体に稲妻のような線が所々に入っており、蒼く輝いていた。
羽を羽ばたかせる度に砂塵が舞い視界が悪い。
「…ッ、おい!この体…魔力が練れねェんだが!?」
『あれ?言ってなかったっけ?僕何故か魔力使えないんだよね』
「はァッ!?このクソッタレ!ンな大事な事は最初に言いやがれッ!」
『え、ごめん。言ったと思ってた』
尻尾の薙ぎ払いを避けて、オルハが怒鳴る。
彼の【入れ替わる精神】は入れ替わった体の魔力も扱えるようだ。
「ルビーアイもかた無しじゃねェか」
『僕もそう思う』
ドラゴンの幼獣は周囲に稲妻を纏い、此方に躙り寄る。いきなり口を開けたと思ったら、耳鳴りに似た音がして蒼白い光が集まった。
(なんか危なそう)大砲のような、雷を圧縮したエネルギー砲が此方に向けて発射される。僕が隠れていた大きな岩を砕きその威力に青褪めた。
『うげ、反則じゃない?』
すると、前に降り立ったオルハは僕とは対照的にニィと口角を持ち上げる。
「雷熱も、痺れる感じもしねェ…!」
ギラギラと危険な魔獣のような笑みで、僕の体に大変満足して頂いているみたい。
指をボキボキ鳴らしてドラゴンに近付く彼からは濃厚な暴力の香りがする。
「掛かって来やがれクソッタレがァッ!」
「ガァアアアアアッ」
力と力が衝突して突風が吹いた。
オルハが乗り移った僕の体は普段とは比べ物にならないくらいよく動く。雷神龍が一気に沢山の雷を放つが怯みもしない。瞬時に間合いを詰めて、ドラゴンの頬を蹴っ飛ばした。
蹌踉た巨体に追い討ちを掛けるように、尻尾を抱えてハンマー投げの要領でその場でくるくる回る。勢い任せに投げ飛ばすと、岩壁に激突してめり込んだ。
『雷神龍よりも、何だか君の方が恐ろしくなってきたよ』
「はッ!今更だろ」
体を動かしている爽快感からか、今のオルハは部活動に勤しむ学生みたいな爽やかさがある。
ドラゴンは目を回しているのか気絶したのか動かなかった。砕けた石礫と共にべしゃりと地に落ちる。
「さァて、早いとこ…」
オルハが近付いた時、尻尾の先のリングが光った。すると雷神龍が飛び起きて大きく吠える。
「ッ…この、」
先程よりも暴れ回るドラゴンを前に、オルハは歯を噛み締めた。荒れ狂う尻尾が地面を叩き石壁を殴打する。
切り立った石壁に亀裂が走って、上空から岩が落下してきた。
『大丈夫オルハ!?』
「、問題ねェッ!」
僕が居る辺りまで後退した彼は、苛立った様子で舌打ちする。
『少し気になる事があるんだけど』
「あァ?」
『…あの尻尾のリング…見覚えがあるんだよね』
僕の見間違いじゃなければ尻尾に嵌ったリングが微かに光る度にあの子は暴れ出す。
『前に僕がダチュラの構成員に嵌められた指輪に似てる』
「ーー…なら、」
ハッとしてオルハも尻尾のリングに注目した。
「はァァ!?くそ、アイツら…ッ、ああァァ、最近大人しいと思ってたら、鬱陶しいヤツらだクソッタレ!」
帝国へ雷神龍のハグレを差し向けた、或いはドラゴンを操ってる可能性もある。指輪が起動する度にあの子が苦しんでいるようにも感じる。
彼らの特別製だと言っていたし、あれ程酷似した類似品があるとは思えない。
「何企んでやがるのか知らねェが、ぶっ壊してやるぜッ!!」
激昂するオルハは手を打ち鳴らしてドラゴンの注意を引く。彼の姿を視界に捉えた途端、雷神龍はオルハに突撃して来た。
雷が効かないのを学習したのか、水魔法が展開される。
『雷神龍って雷魔法以外も使えるの?』
「嵐を起こしやがるからなァ、…ッ…、造作もねェ、だろ。ハハ!ただコイツ、まだ雷以外は大した事ねェわ」
飛んでくる水の槍を避けながら笑った。まだ幼い為か、雷魔法以外は拙いらしい。
僕からしたら雷神龍が放つ水魔法も見事なものだ。
オルハがドラゴンのお腹を殴り付けた。しかし懐に入った彼に向けて爪が振り下ろされる。
避けたパロマの王様は「ああ、くそ。この体、すばしっこいが力が全然無ェ」と僕に文句を付けた。
『悪かったね!力弱くて!』
「どうせ魔力とスキルに頼った戦い方してたンだろォがこのモヤシ」
『皆オルハみたいに馬鹿力な訳じゃないんだよ』
これでも最近頑張って鍛えてる。イーダの手が空いた時間にメビウスに行って、戦い方の基礎とか教えて貰っている。
イーダにはこんな事も忘れちまったのか、みたいな顔されたけど僕はまだ挫けてない。
オルハが素早く雷神龍の背後に回り込む。暴れる尻尾を拳で受け止めた。
狙い通りリングを撃ち抜く事に見事成功し、嵌められていたソレが粉々に砕けた。
途端に子供ドラゴンの体が傾き、地面に伏せる。
「…たく、ダチュラのヤツら絶対ェ許さねー」
オルハが苦々しく吐き捨てた。
雷神龍は目を閉じたまま身を横たえている。凄まじい疲労を強いられていたのか、荒い息をしていた。
「よし、交代だ」
『え?あ…』
勝利を確信した彼の言葉と共に体が入れ替わって元に戻っていた。
「はァァ…やっぱり自分の体が1番だぜ」
腕を回しながら、本来の体でドラゴンに近付いていく。
『ねぇ、オルハ。やっぱりこの子殺しちゃうの?』
「あったり前ェだろ。ハグレには違いねェ」
『でもさ、ダチュラのせいかもしれないし…』
「諄いっての!ヤツらの仕業でも、コイツをこのまま放置は出来ねェッ!」
それは分かる。ハグレ魔物は危険対象だ。しかし、このまま殺すのを黙って見ていられない。
雷神龍の幼獣を庇うように前へ立ちはだかった僕を、オルハは睨み付けた。
「テメー…、やってる事分かってンだろーなァ?」
『分かってるよ…』
「ソイツを放っておきゃァ街を襲うかもしんねーんだよッ!今のうちに始末する必要があんだボケがァ!」
『でもまだ人を傷付けた訳じゃないでしょ?今からでも親元へ帰すとか…』
「それが出来りゃァ苦労しねェわクソ!」
苛立つオルハの怒号が飛ぶ。
「人を喰う保証がないから今は見逃せって事かァ!?言うまでも無く却下だッ!国民の誰かが死んでからじゃ遅ェッ!」
『分かってるよ!でも他に方法がある筈だよッ!』
彼の言う事は尤もだ。人が傷付いてからじゃ遅い。でも、僕の後ろの子ドラゴンだって殺されたくない筈だ。
ダチュラの思惑が絡んでた以上、彼をこのまま葬るのは間違っている気がした。
『リングの欠片を集めて、どうこの子に作用してたのか調べてからでも遅くはないと思う』
「その間にコイツがそこでジッとしてンのか?たった今俺にボコられてンのに絶対に人を襲わねェって言いきれンのか?」
『それは…話をしてみて…』
「小せぇからって情が湧いちまったのか?雷神龍は子供だろォが人に慣れるなんて事ァ絶対ねェッ!こんなチビなドラゴンじゃ、人の言う言葉なんざ分かんねェだろうぜ!」
魔物やドラゴンの中でも雷神龍は高い知能を誇る。数百年生きたドラゴンは人語を理解して話すとされている。
僕は背後に匿う目を開けた幼獣を一瞥するが、数百年生きてるとは到底思えない容姿だ。
『でもこのままこの子が殺されるのを容認出来ない…一緒に考えようよ!』
「何処までおめでてーンだテメーの頭は!コイツは此処で殺す!それ以外に選択肢はねぇッ!」
『ちょっと待ってよ!何で他に選択肢が無いと思うの?考える前に決め付けてるじゃんか!』
怒鳴るオルハに食い下がる。乱暴に服を掴まれ引き寄せられ彼の憤懣が漲る双眸に、同じような顔をした僕が映った。
「はァァ!?ハグレである上に、クソッタレな雷神龍だぞ!?テメーに雷は効かねェかもしんねーけど、他のヤツは一瞬で死ぬんだよッ!んな危ねェ魔物、殺れる時に殺っとかねーと後悔しても遅ェんだタコッ!それとも何か?自分は効かねェから関係ねェってか!?ブルクハルトにコイツが居ても同じ事言えんのかテメーはよォ!?」
あまりの物言いにカチンときた。つい過る感情のままに『この…ッ!』と掴まれた手を払い突き飛ばしてしまう。
僕の反撃は予想もしていなかったらしい彼の体が大きく揺れた。
『あ、ぅ…ごめ、』
直ぐ冷静になって謝るが、呆気に取られていたオルハの表情はみるみるうちに歪む。
「テメーやりやがったな…ッ!」
(ひぃ)鬼だ。
『謝ったじゃん!』
「煩ェクソ雑魚がァ!」
お返しとばかりに頬を殴られた。
「大体テメーが女装なんかしてパロマに来なけりゃァなァ…ッ!」
『その言い方は酷いよ!僕だって好きで女の子になった訳じゃないのに!』
過去に帝国と揉めたりオルハに怨まれてなければ、ちゃんと正面から訪問出来た。(女装じゃないし!)
それを僕が喜んで女の子になってパロマに行ったみたいに!こっちはこっちでバレやしないか冷や冷やして、気が気じゃなかった。
「俺の知らねー所でエニシャに近付きやがって…ッ!」
『エニシャは今関係無いでしょ!?』
血の味が広がる。殴られた拍子に口の中を切ったみたいだ。
「黙れ!テメーに何が分かるッ…エニシャだけは守ろうって決めてンだよ!このクソッタレな世の中と、ありとあらゆる悪意からなァ!」
反対の頬に拳を当てられそうになり、僕は咄嗟に避ける。イーダに体術を教わっていて良かった。
『君のそれは過保護と言うか過干渉なんだよ!……ッ自分が昔凄く傷付いたからエニシャは傷付かないようにって事なんだろうけど、それは同時に彼女の意思や可能性をぶち壊してるかもしれないんだってば!』
「傷付いたっ…て、……くそ、エニシャか!?」
僕がクロードとの件を知っていると察した彼は酷く動揺し、妹の介入を疑う。
『君を心配してるんだよ!少しは妹に心配されてる自覚を持ってよ!』
本心を吐露して勢い任せに腕を振ると、オルハの肩にヒットする。バランスも崩さないところを見ると、全然効いてない。
「う、煩ェッ!」
エニシャに心配を掛けてる事実は効いたみたいだ。
『君は少し頭が硬いんだよ!一度裏切られたからって意固地になり過ぎなんだってばッ!』
見様見真似のボディーブローが決まり、初めてオルハが苦しそうに呻く。しかし直ぐに反撃に転じられ「いってーな!誰が意固地だこのクソもやし野郎!」と不名誉な称号と共に鳩尾を殴打された。
『ッ…、へ…閉鎖的になってるじゃん!誰も受け入れようとしないし、ずっと人を疑ってばかりじゃないか!』
「…ッ、の、何が悪ィんだよ!?」
図星を言われて怯んだ隙に畳み掛ける。
『君の周りには悪い人ばかりじゃないでしょ!?君と入れ替わって城内を歩いたけど、皆からは畏敬の念しか感じなかった!悪意なんて欠片も無いんだよ!』
「…んなの、…」
『皆君を好いてるのに、それに気付いてもないし、気付こうともしてない!周りの人に片っ端からモザイクかけてるような今の君の状態を見てると…腹が立つんだよ!』
そう、腹が立つんだ。
彼の過去を聞いた時も、僕は確かにオルハに対して怒っていた。勿論クロードにだって腹に据えるモノはあったけど、彼はもうこの世に居ない。
「モザ…?知らねーよ偉そうに説教垂れてンじゃねェ玉無しがァッ!」
モザイクの意味を知らない彼に顎を狙われるが、何とか回避する。しかし反対から飛んできたジャブに脳が揺らされ吐き気が込み上げた。
胃液は押し留め、口内に溢れた唾に混じる血を地面に吐き出す。
「こっちはずっとダチだと思ってたヤツに裏切られてンだよクソッタレッ!ンな事があって、俺達みてェな立場の奴が一体誰を信用しろって言うんだよ!?」
『…ッ』
オルハが初めて胸の内を口にして、僕は苦しくなった。
『誰を信じらたら良いのか分からないなら、僕を信じて』
「はァ!?」
魔王会議でオルハと話している時、いきなり彼が怒り出した理由が最近分かった気がするんだ。
僕がリリスと話してるのを見て、羨ましかったんじゃないかな。(本人に言ったら絶対否定するだろうけど)
『っ…、たった1人の元従者に人生狂わされてるなんてオルハらしくないよッ!』
「…ッ、」
オルハの顔が一瞬だけーー。
僕は構わず渾身の力で頬を殴り付けた。
◆◇◆◇◆◇
僕とオルハは一頻り殴り合って、勝敗がつかないまま暫く地面に横になっていた。(最後のカウンタークロスは効いた…)
『はぁ…はぁ……、君手加減してたでしょ』
「…ハァ…俺が本気で殴ればテメーみてェなもやし、骨折れっぞ」
僕は起き上がり、直ぐ傍に寄り添う形で一緒に居た雷神龍くんの頭を撫でる。
『はは…じゃぁ、君の手心に感謝だね。僕は思い切り殴ったんだけど…大丈夫そうだね』
「へっぴりなテメーの拳なんか、当たってもあんま意味ねェよ」
仰向けのオルハを窺うが、ただ疲れただけって感じだ。僕のパンチ効果で寝てる訳じゃなさそう。
そんな彼に『立てるかい?』と手を差し出すと、鼻で笑われた。
「当たり前ェだ」
手を掴んで立ち上がったオルハはどこか吹っ切れた顔をしている。表情が柔らかくなったと言うか、僕を見る眼差しも前より優しい気がした。
オルハに怯えて僕の後ろへ隠れる雷神龍を見下ろし、彼は深い溜め息をする。
「はァ…。どういう訳かテメーに懐いて見えなくもねーな」
『どうかな?オルハに怯えてるだけだと思うけど』
子ドラゴンを観察しつつ言う僕を無視して、オルハはリングの破片を集め始めた。
『もしかして…』
「嗚呼。一度調べてやるよ」
『やったー。有り難う』
喜ぶ僕は首を傾げる雷神龍くんを再び撫でる。爬虫類みたいにきめ細かな鱗で覆われザラザラしていた。
「そンかわり、その間ソイツを見張っとけよ!?とちったらタダじゃおかねェぞッ!」
『はいはい』
いってらっしゃいと手を振る僕を鬱陶しそうにして、オルハが踵を返す。
その先に見知らぬ人物が居て、僕とオルハはビクリとした。気配が全くしなかった。
「はぁ…オレはねぇ期待してたんだ。もしかしたら魔王同士で殺し合ってくれるんじゃないかってね」
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「…ふぅ、でも残念。ただの殴り合い、餓鬼の喧嘩さ」
「テメーは?」
警戒態勢に入ったオルハが眉を寄せる。
「はぁ…ダチュラ幹部、ビリード・エンシェント。【不滅】に【鮮血】…オレの玩具に手を出した事、死ぬ程後悔させてあげるよ…」
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