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冒険者への道

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俺はギルドまで向かった、、、だが、
貧民街でレアアイテムを持つと言う意味を、
俺はよく知っている。
鞄が無い俺には隠すことも出来ない。
走り抜けるしか無いんだ。
貧民街の出入口付近、1番治安の悪い場所だ。
1番不安な場所だったが、上手く抜け出せた。
後は兵士の所まで行ければ安心だ。

・門兵1
「おい、坊主。
良いもん持ってるな、、、」

あろう事か、出入りを管理している兵士に絡まれた。

・門兵1
「坊主、お前が持っててもちゃ~んと使えるか解らねぇだろ?
だから、俺様に寄越せ、、、」

・「ふざけんな。
これは形見の品だ。」

・門兵2
「貧民街でそんな良い物があるわけねぇだろ。
大方何処かで盗んで来たもんだろう?
捕まる前に寄越せって言ってるんだ。
黙っててやるからよ。」

・「くそっ!」

逃げようとするが、2人の兵士に囲まれてしまう。

・門兵1
「なんだよ、逃げんなよ。
痛い目に会いたくは無いだろ?
さっさと寄越しな。」

1人が小手を奪おうと寄ってくる。

・「舐めんなよ!」

ニュートは兵士を躱して尚も逃げる。
しかし、

ドゴッ

・「ぐっ」

横をすり抜ける際、槍の柄での一撃を喰らってしまった。

・「グゥゥ、、」

・門兵1
「どうした?
もう逃げないのか?
それとも、渡す気になったのか?」

ニヤニヤとしながら2人の兵士が近づいてくる。

・「負けて、たまるか!」

ニュートは立ち上がる。
落ち着け、戦っても無駄だ。
逃げの一手を見出すんだ。

・門兵1
「さあ、坊主。
観念して寄越しな。」

ニュートは考える。
逃げる為の道筋を、、、
兵士は2人、
俺から見て左の兵士は剣、右の兵士が槍だ。
立ち位置は剣が少し後ろで、槍の奴が近い。
更に槍を右手で持っているのならば右利きだ。
ならば、渋れば必ず槍兵が空いてる左手で奪いに来る筈。
これを利用する。

・門兵1
「早く寄越すんだ!」

槍の兵士が小手を奪おうと左手を伸ばす。
刹那、、、

・「ここだ!」

ニュートは出された手を内側にいなす、、
そのまま回転して背中で槍兵を剣士の方に弾き飛ばす。
槍兵はよろめきながら剣士に当たり転倒する。
ニュートの閃きが形となり、活路を見出した。

・門兵1
「なっ!」

・門兵2
「くそっ!」

・「よし、逃げ、、、」

ひとつだけ誤算があるとするならば、剣士の腰に小型のナイフがある事を見逃していた事である。

ビュッ、、、、グサ

・「ぐぁぁぁ」

ニュートの左腿にナイフが刺さる。

・「うぐぅぅぅ」

あまりの痛みに倒れてしまう。

・門兵1
「クソ餓鬼が、
どうだ?痛えだろ?ああ!」

倒れているニュートを2人が囲む。
そして、

・門兵2
「サッサと渡せば痛い目に見なくて済んだのによ。
馬鹿な奴だ。」

兵士の手が伸びる。
咄嗟に小手を抱き抱えてうずくまる。

・門兵2
「なっ!
この餓鬼、渡せって言ってるだろうがぁ」

2人は容赦なく蹴る、殴る。
ニュートは耐える。

・門兵2
「しつこい奴だ。」

・「た、例え死んでも、、、
これだけは、、、、渡さねぇ、、、」

ニュートが兵士に言い放つ。

・門兵1
「上等だ、クソ餓鬼が!
だったら殺してやるよ、、、」

剣士が腰の剣を抜く。

・門兵2
「お、おい、
そりゃいくらなんでも、、」

・門兵1
「うるせぇ、俺に指図すんな。
この餓鬼、殺してやる。」

遂にキレた剣士が剣を振りかぶる。
ニュートは動けない。

・「まだ、何もしていないのに、こんな所で、、
俺は死ぬのか?
ライ兄、、、、
ライ兄なら、どうしたんだろう」

半分諦めてしまったニュートの心。
憧れのライオットを思い、再び歯を食いしばる。

・「俺は、こんな所で、
死ぬわけにはいかないんだ!」

フラフラしながら立ち上がり、剣士を睨む。
剣士は、剣を振りかぶっている。
しかし人を切る事に恐怖を感じている様だ、、、
簡単に言えばビビっているのである。

・門兵1
「ふぅふぅふぅ、、
が、餓鬼、最後のチャンスだ。
小手を渡せ、、!」

ニュートは睨む、そして叫ぶ

・「いやだっ!」

・門兵1
「なら、、、、死ねぇ!」

ニュートは目を瞑らない!
大きく見開いて、剣の軌道を見極める、、

ガシッ!

・「?」

剣が止められた。
瞬間、剣士が投げられる。

ニュートは最後まで目を閉じなかった為、神技の様な投げ技を見た!

・謎の男
「おいおい、兵士さんが2人して坊主に寄ってたかってってのはどう言う事だ?」

・門兵2
「な、なんだテメェ?
軍に立て付こうってのか?」

槍兵が吠える、、、が。

・謎の男
「いちいちうるせぇよ。
こっちは毎日魔物みてぇな奴と一緒に仕事してんだ。
ただの兵士にビビる訳ねぇだろ。」

ニュートは、やり取りを見守っている。

・門兵1
「いててて、
野郎、軍に立て付くとは許せねぇ。
おう、2人で同時に行くぞ。」

兵士2人が謎の男を囲む。

・謎の男
「全く、最近の兵士はスキだらけじゃねぇか。
軍、軍ってうるせな、人を頼る前に自分でなんとかしろや。
おぅ、さっさとかかって来い!」

兵士を挑発する。
謎の男は武器も無ければ構えもしない。
ニュートは目を凝らす。
この男の動きを見逃さないように、、、

・門兵1
「オラァー」

右斜め前から、剣士の縦切り

・門兵2
「死ねぇー」

左斜め前から、槍兵の突き
謎の男は動かない、、、、

・「あぶねぇ、、」

ニュートが叫ぶ、痛んだ体に鞭を打って割り込もうとするが、謎の男はこちらを見て確かに笑った
刹那、、、

ガキン!

槍の刃先と剣が重なる音がする。

ドサドサっ、、、

同時に倒れ込む2人、、、

・謎の男
「ふぃ~、困った奴等だ、
おぅ、坊主。
大丈夫か?」

・「すげぇ、、、
なんて、早技、、、だ、、」

ドサ

ニュートは倒れてしまった。

・謎の男
「おい、坊主!
ったく、これから仕事だってのに、、、
まあ一応、危機は脱したんだ。
置いていくからな!」

返事はない。

・謎の男
「放置だ、放置。
置いていくからな。」

当然ながら返事はない。

・謎の男
「だぁーくそっ。
ほっとけるかってんだ!」

結局、謎の男は仕事場に連れて行くこととした。
気を失っても、小手は大事そうに抱える少年を抱えて、、、

・謎の男
「まあ、根性だけは一人前だな。」


~謎の男の職場にて~

・「はっ!」

ニュートは目を醒ます、、、
周りを見渡すが、見た事のない場所だ。

・「こ、ここは?
俺は、、、」

・謎の男
「おぅ、目が覚めたか?」

声のする方を見る。
先程、神業を見せた謎の男が立っている。

・「あ、あ、、、」

・謎の男
「ん?大丈夫か?」

声にならない。
落ち着け、ライ兄ならどうする、、、

・「あ、危ない所を助けてくれて。
ありがとうございました。」

出来る限りのお礼を言う。
深く頭を下げて、、、

・謎の男
「ほぅ、なかなか見込みのある坊主だな。
無事で何よりだ。
結構やられたみたいだが、骨には異常はねぇ。
無意識か故意にかは知らねぇが、危険な所はちゃんと避けて受けたんだな。
たいしたもんだ。」

謎の男が褒める。
実の所ニュートは、故意に避けて受けていた。
殴られながらも気配や目視で確認しながら、受けに徹していたのだ。
いつ終わるか分からない痛みの渦の中で耐え続けながら、、、

・「貧民街を生きるなら、攻撃よりも防御を学べ。
俺がある人から学んだ事だ。」

肉屋のドーンに教わった事。

・謎の男
「良い事言うな、ソイツ。
そうだ、死なない事を最優先に考える事。
それが1番大事な事だ。
俺の名はドンクだ。
坊主、お前の名は?」

・「ニュートです。
助けてくれてありがとう。
ドンクさん強いんだな、凄かった。」

・ドンク
「カッカッカッ、
対人にしか通用しねぇがな。
無事で何よりだ、それより、、、
ほれっ、、
良い装備だな、大事にしろよ。」

小手を投げて渡される。
慎重にキャッチして、抱き抱える。
、、、ニュートは考える。
このまま、ここを出て良いのか?
また絡まれた時、俺は小手を守れるのか、、、

・ドンク
「どうした?ニュート。」

・「ドンクのおっちゃん。
俺を、、、俺を鍛え上げてくれ。
頼む。」

ニュートは頭を下げた。

・ドンク
「いきなりだな、、、
だが、断る。」

・「そこを、何とか。
俺はこの小手を守りたい。
自分の事を守れなくて、人を守るなんて無理だ。
俺はあの人みたいになりたいんだ。」

・ドンク
「お前に防御を教えた奴のことか?
だったらソイツに教われば良い。
大体、俺は忙しいんだ。」

・「お願いします。
何でもやります。
お願いします。」

何度も頼むニュート。

・ドンク
「しつこいな、嫌だって言ってるだろ?
大体な、、、」

・???
「弟子にしてあげれば良いじゃない。」

ニュートの後ろから声がした。
ニュートは振り返る、、、

・「ま、、、魔物?」

・???
「誰が魔物よ!
失礼しちゃうわ。」

屈強な体で、乙女の姿をした魔物が居た。

・ドンク
「しかしよ、サリーヌ。
面倒なんだよ、餓鬼のお守りなんて、、
大体、俺には既に弟子がいる。」

・サリーヌ
「ふふ、貴方はあの時居なかったものね。
この子、ライオットちゃんの知り合いよ?」

ライオット?
ライオットの名前に反応するニュートとドンク

・ドンク
「本当か?おぃ、坊主!
お前、ライオットと知り合いなのか?」

・「ニュートだ。
ライ兄は俺の憧れの冒険者、、、になる人だ。
俺はいつかあの人を助けたいんだ。」

・ドンク
「何だよライオットの知り合いかよ。
だったら早く言えよな!
よっしゃ!
お前の事は俺が責任持って面倒を見てやる。」

・「本当か?
ドンクのおっちゃん」

・ドンク
「師匠だ。
師匠と呼べ!」

・「わかったよ、師匠!
ありがとう、
ありがとうございます。」

ニュートは晴れて鍛冶屋ドンクの弟子入りを果たした。

・「ライ兄、ここでも助けて貰った。
本当に、あの人はすげぇ。
ますます好きになった」

・ドンク
「ライオットか、、、
お前の兄弟子って事になるな。
だが、アイツはすげぇぞ?」

・「わかってる。
必ず、ライ兄に追いついてみせる。」

・ドンク
「ライオットに追いつくか!
そうか、その意気だ。
いいぞ、気に入ったぞニュート。
一緒に頑張ろうぜ!
ライオットをビックリさせてやる。」

・「オー!」

ライオットのお陰で意気投合した2人。
ニュートはドンクの弟子となりライオットに少しだけ近づいた。
ライオットが特訓に出掛けて行った同日。
ギルドに新しくニュートが加わる事となる。
サリーヌはその光景を笑顔で見守り、自分の仕事に戻っていった。
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