上 下
5 / 33

救援要請

しおりを挟む
厄災2波を退けて1週間。
あれからゲートの報告はない。
平和な日々が続いていた。

・コーン
「さぁ、浩二殿続けますぞ。」

相変わらず毎日コーンにやられています。
こいつ手加減ってものを知らないな。
生傷がドンドン増えていく。
毎日が地獄の日々です。

第2波で見せた重爆撃機フォボス。
あれのお陰で兵士達皆に感謝された。
コーンは俺を尊敬してくれている程だ。
あれから稽古での攻撃が激しくなった。
何故に?

エミリア曰く、尊敬の念が高くなったからこそ全力でぶつかるのが礼儀だと思っているんじゃないかと。
迷惑な話である。
とは言えコーンのお陰で対人戦に強くなれたのも事実。
そこは感謝しておこう。

そんな俺がロドルフに呼ばれたのは昼頃だった。
ボロボロの身体を引きずって部屋に向かう。

・ロドルフ
「浩二殿、今日は相談があって来てもらった。
というか、大丈夫か?」

大丈夫な訳ないだろ?
ご自慢の兵士長に本気で攻撃されてるんだから。

・「まぁ、いつもの事だ。」

カッコよく返してみた。
鼻血を出しながら言うセリフじゃないな。

・ロドルフ
「だ、、、大丈夫なら良いのだが。
私からコーンに言っておこうか?
程々にせよと。」

・「是非お願いします。」

マッハで喰い付いた。
恥ずかしいとか言ってられん。
死活問題だからな。

・ロドルフ
「そ、そうか、なら後で言っておこう。」

やった、これで地獄の日々から解放だ。
最初からロドルフに頼んでおけばよかった。

・「んで、頼み事って何かな?
今なら気分が良いから頑張っちゃうよ。」

・ロドルフ
「浩二殿は『グランデ』と言う国をご存知か?」

・「『グランデ』?ちょっと解らない。
何かヒントとか無い?」

・ロドルフ
「『始まりの魔獣』の素材を送った国だ。」

・「あ~、ネコミミ美女の国だ。
その国がどうした?」

・ロドルフ
「ネコミミ美女?エミリアでは不満か?
まぁいい、、、いや余りよくない。
先にそっちを聞かなければならないか?」

王様がブツブツ言ってらっしゃる。
どうしたものか。

・ロドルフ
「問い詰める事が増えてしまった。
エミリアにもっと頑張って貰うしかないか?」

自分の世界に入っている王。
暫くそっとしておくか。

数分後、、、

・ロドルフ
「まぁ、その問題は後回しにしよう。
それで、その『グランデ』から使者が来た。
力を貸して欲しいとの事だ。」

成る程、救援要請か。
でも何でこの国なんだろう?
一番弱い国だと思うのだが。

・ロドルフ
「使者から直接聞いた方が居だろう。
入ってまいれ。」

奥の部屋から一人の女性が入ってくる。
ん~、何か見たことあるな。

・女性
「お久しぶりです浩二様。
『グランデ』の巫女リームでございます。」

あ~、召喚の時に居たな。
ネコミミに目を奪われたのでうろ覚えです。
何だかすみません。

・リーム
「我が国に第2波のゲートが出現しました。
しかし我が国の勇者エリシャは出撃が出来ません。
『始まりの魔獣』との戦いで負傷を追ったままです。
どうか、浩二様のお力をお貸しください。」

エリシャさんって最初一番強かったよね?
負けてしまったのか?

・ルドルフ
「本来であれば自国の事は自国で解決する。
浩二殿が断っても問題はない。」

まぁ、そうなるわな。

・リーム
「今回、救援要請に従ってくださるのであれば報酬は相当なものをご用意いたします。
どうか、お力をお貸しください。」

・ロドルフ
「如何いたそう?」

俺に聞いてくるロドルフ。

・「ん~、良いよ。」

軽く答える俺。

・リーム
「本当でございますか?」

・ロドルフ
「またそんな簡単に、、、」

少し落胆する王。
交渉次第では国益に繋がる取引が出来そうな場面だったしね。まぁまぁ良いじゃないですか。

・リーム
「報酬は、何をお求めでしょうか?」

恐る恐る聞いてくるリーム。
ロドルフの目が輝き出した。
でもごめんね。
俺は交渉とか駆け引きをするつもりはない。

・「その前に、聞かせて欲しい。
何故俺を頼った?
召喚の時に知ってるだろう?
俺の能力値。」

ここが一番聞きたかった。
だってみんなに笑われたぐらいだし。
あの時の悔しさは忘れてない。

・リーム
「答えは実績です。」

・「実績?」

・リーム
「どの国でも『始まりの魔獣』は終了しました。
しかし討伐をしたのはこの国だけです。
歴史上、この国だけと言った方が良いでしょう。
どの国も甚大な被害の元なんとか退けたと言うのが現実の話になってきます。我が国もエルデンからもたらされた素材のお陰で素晴らしい武具が作られました。
そのお陰でエリシャも一命をとりとめました。」

そっか、素材を送っておいてよかった。

・リーム
「我が国が掴んでいる情報。
これも報酬の一つとして献上致します。」

お、、、交渉モードに入ったな。
リームさん中々のやり手と見た。

・ロドルフ
「申し出を受けよう。」

ロドルフも駆け引きに入ったな。
こうなると腹の探り合いが始まるな。
時間が掛かりそうだ。

・「この件は俺に一任して貰って良いかな?」

ロドルフは驚きながら俺を見る。
素人の俺は引っ込んでて欲しい所かな。
政治とか難しそうだもんなぁ~。

・ロドルフ
「ふむ、ならば全権を任せよう。
正直ワシも駆け引きは嫌いだ。
どれくらい引き出してやろうとか考えるのは好きじゃない。浩二殿に任せた。」

途中から王の威厳とか無視しやがった。
まぁ、こういう所が好きなんだけどね。
兵士と一緒に畑を耕してるような王様だし。
村人とお茶をすすりながら笑う王様って斬新だわ。

・「と言う訳で、全権が俺に移りました。
では、俺の言う事を聞いて貰おうかな。」

・リーム
「わ、、、わかりました。」

服の胸元をギュッと掴みながらビクビクしているリームさん。俺なんか変なこと言ったかな?

・「まず、敬語は辞めてラフに行こう。
その方が話しやすいしさ。
あと詳しい話は移動しながら話さない?」

・リーム
「救援に来て下さるのですか?」

・「敬語じゃなくなったらね。」

・リーム
「あ、、、」

王の方を見るリーム。
ロドルフは大きく頷く。
そして一度深呼吸をするリーム。

・リーム
「一緒に、来てくれるの?」

上目使いは反則だろ。
一瞬で心を撃ち抜かれるわ。
そんな俺に咳ばらいを食らわせてくるロドルフ、解ってますって。

・「エリシャだけは俺に優しくしてくれた。
あの時は嬉しかった、だから力になるよ。」

話は決まった。
ロドルフの報酬の話は?って顔は無視してその後の事を話し合う。
夕方には出発する事になった。

・「既にゲートが出現して3日目だったね。
急いで行かなきゃいけないだろ?」

俺はカッコよく言い放った。

では話をまとめよう。
ゲートが出現して直ぐに国を出たリーム。
この国に着くまで馬車で移動。
食料も水も最小限に抑えて馬の負担を軽減。
その結果、何とか3日で辿り着いたらしい。

・リーム
「この子達には無理をさせてしまった。
流石に帰りは無理でしょう。
何とかこの国の馬を貸して貰えないかな?」

・エミリア
「もちろん良いわよ。」

何故かエミリアも同行する事となった。
危険だと思うのだが、、、
あの時、王は条件を出してきた。

・ロドルフ
「私からの条件は一つ。
エミリアを同行させる事。
浩二殿、エミリアから離れないでくれ。」

心配なら同行させなきゃいいと思うが。

・エミリア
「お父様がくれたチャンス。
モノにして見せますわ。
ネコミミ美女とやらには負けません。」

エミリアがなにやらブツブツ言っている。
そういう所は王様そっくりだな。
まぁ、やる気満々なのは良い事だ。

・リーム
「では、急ぎ向かいましょう。」

馬車は進んで行く。
目指すは開拓の国『グランデ』


~馬車内~

・リーム
「実は各国にも救援要請は出してあるの。」

馬車で色々話しているうちにそんな話題に。

・エミリア
「そうなの?」

・「いや、普通そうだろ?
だってどの国も救援要請に応じてくれるか解らないんだから、各国に送るのは当然じゃないかな?」

・エミリア
「まぁ、、、確かに。
だったら実績とか言ってたのも嘘なの?」

盗み聞きしてたのか。
その辺がリームの交渉術なんじゃないの?

・リーム
「交渉するための一手と言うか。
相手を持ち上げた方が頼みやすいと言うか。」

正直に話してくるリーム。

・リーム
「でもエリシャも私もこの国に来たのは間違いじゃなかったと思ってる。国の人たちはみんな反対だったけどね。」

いまさらそんな爆弾を落とされてもね。
2人以外みんな反対だなんて、、、

・リーム
「本当は「バンガード」帝国に救援を依頼するのが当たり前なの。100年前もそうだった。
『始まりの魔獣』で打撃を受けた国は「バンガード」にすがる事になる。全ての国は「バンガード」に救援依頼を出すのが普通。莫大な依頼料、お金が無ければ多くの女性を連れて行くのがいつもの歴史なの。」

・「そうなのか?」

・リーム
「私の国の歴史書にそう記されているわ。
国を救う為に仕方のない事。
それを知ったエリシャは激怒したわ。
そして始まりの魔獣に立ち向かった。
彼女のお陰で追い返す事に成功した。
でも、魔獣は最後に村を消滅させようと魔法を放ったの。彼女は村人を救うために魔法に飛び込んでいったわ。」

リームが泣きながら話している。

・リーム
「誰もが死んだと思った。
でも、あなた方のくれた素材で作った防具のお陰で何とか助かったの。
本当にありがとう。」

エミリアももらい泣きしている。

・リーム
「この実績があったから私はこの国に交渉すると決めた。周りの反対も押し切る事が出来たわ。」

涙を流しながらも笑顔でこちらを見る。
この国に来るまでの護衛は一人だけ。
この人も必死だったんだろうな。

・リーム
「もう一度言うわ。
救援に応じてくれてありがとう。」

一行を乗せた馬車はグランデへと突き進む。
厄災第2波までに間に合う様に。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

異世界サバイバルセットでダンジョン無双。精霊樹復活に貢献します。

karashima_s
ファンタジー
 地球にダンジョンが出来て10年。 その当時は、世界中が混乱したけれど、今ではすでに日常となっていたりする。  ダンジョンに巣くう魔物は、ダンジョン外にでる事はなく、浅い階層であれば、魔物を倒すと、魔石を手に入れる事が出来、その魔石は再生可能エネルギーとして利用できる事が解ると、各国は、こぞってダンジョン探索を行うようになった。 ダンジョンでは魔石だけでなく、傷や病気を癒す貴重なアイテム等をドロップしたり、また、稀に宝箱と呼ばれる箱から、後発的に付与できる様々な魔法やスキルを覚える事が出来る魔法書やスキルオーブと呼ばれる物等も手に入ったりする。  当時は、危険だとして制限されていたダンジョン探索も、今では門戸も広がり、適正があると判断された者は、ある程度の教習を受けた後、試験に合格すると認定を与えられ、探索者(シーカー)として認められるようになっていた。  運転免許のように、学校や教習所ができ、人気の職業の一つになっていたりするのだ。  新田 蓮(あらた れん)もその一人である。  高校を出て、別にやりたい事もなく、他人との関わりが嫌いだった事で会社勤めもきつそうだと判断、高校在学中からシーカー免許教習所に通い、卒業と同時にシーカーデビューをする。そして、浅い階層で、低級モンスターを狩って、安全第一で日々の糧を細々得ては、その収入で気楽に生きる生活を送っていた。 そんなある日、ダンジョン内でスキルオーブをゲットする。手に入れたオーブは『XXXサバイバルセット』。 ほんの0.00001パーセントの確実でユニークスキルがドロップする事がある。今回、それだったら、数億の価値だ。それを売り払えば、悠々自適に生きて行けるんじゃねぇー?と大喜びした蓮だったが、なんと難儀な連中に見られて絡まれてしまった。 必死で逃げる算段を考えていた時、爆音と共に、大きな揺れが襲ってきて、足元が崩れて。 落ちた。 落ちる!と思ったとたん、思わず、持っていたオーブを強く握ってしまったのだ。 落ちながら、蓮の頭の中に声が響く。 「XXXサバイバルセットが使用されました…。」 そして落ちた所が…。

起きるとそこは、森の中。可愛いトラさんが涎を垂らして、こっちをチラ見!もふもふ生活開始の気配(原題.真説・森の獣

ゆうた
ファンタジー
 起きると、そこは森の中。パニックになって、 周りを見渡すと暗くてなんも見えない。  特殊能力も付与されず、原生林でどうするの。 誰か助けて。 遠くから、獣の遠吠えが聞こえてくる。 これって、やばいんじゃない。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...