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昭和六年広島
(5)白薔薇②※
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ピタリ、と陰茎を苛んでいた指の動きが止まる。一拍置いて狂おしいほどの快楽を与えていた圧迫感が離れていった。瀧本が……零士が痛いほど掴んでいた自分の竿から手を離してくれたのだ。それに安心した尾坂はホッと一息吐いていつの間にか強張っていた全身の力を抜き、胸を大きく上下させて呼吸を行う。
「っ……あっ……はぁ……」
「仙……」
「ぅん………」
足首が零士の肩から下ろされて、くたりと脱力したままだったためかそのまま人形のように敷布団の上に横たわった。
息が上がり、心臓の音が耳元で聞こえているかのような錯覚に陥る。生理的なものなのか、涙が一筋流れて赤く腫れた頬に軌跡を描いていった。
その涙を拭うように、零士が唇で頬を流れる滴を丁寧に拭い取っていく。
(昔はもう少し………色が薄かったんだよなぁ)
フーッ、フーッ、と荒く息を吐きながら整えようとしている仙の、涙に潤んだ瑠璃色の瞳を間近で見ながらぼんやり考えた。なにせ十五年前の記憶なので所々あやふやになっているが、仙の瞳の色だけは鮮烈な記憶となって脳裏に焼き付いている。
───白く冷たい闇の中で、透明な水の下に埋もれた灰青色が煌めく光景が。
「っ……にを………考えてる…………?」
絞り出すような声。ハッと我に返った。一瞬、追憶の彼方へ飛ばしかけていた意識を引き戻し、零士は唇についた水滴をぺろりと舐め上げる。
ぐっと顔同士を近付けたまま回想に浸りかかっていたため、必然的に仙の瑠璃色の瞳をじっと見詰めながらしばし固まる事になったのだ。何も知らない相手から見れば、自分の瞳を見た瞬間に突然固まったように見えた事だろう。
普段から「美しい」だの「麗しい」だの散々言われている仙だが、実の所彼は自分の美貌を褒められることに無意識下で嫌悪感を持っていた。戸籍上の母とされる九条院夫人との間にあった確執が主な原因だが、一番の理由は───本当は汚れていない所など無いほど、穢れに穢れきった自分を称賛の眼差しで見られる事が恐ろしいだけだろう。
無言の視線、というのは彼にとっては自身の精神の奥深くまで刻み込まれた恐怖心を揺さぶり起こしてくる引き金だ。それを十二分に心得ていたはずなのに、という後悔から零士はバツが悪そうな顔をしながら答えた。
「ああ、うん。お前のことを考えてた」
「は?」
鳩が豆鉄砲を食らった時の顔とは正しくこのような表情なのだろう──というくらい綺麗な間抜け面をさらして仙が固まった。不意を突かれたにしては妙に整った「唖然とはこうあるべし」というお手本のような表情で、きょとんと零士を見詰めている。
(お………灰色)
瑠璃色の瞳が月明かりに照らされて、うっすらと反射する光の中に灰色が混ざっていたのに気付いた。昔は本当に今よりも色素が薄く、全体的に白かったような気がするのだ。自分の記憶の事だから、都合よく脚色しているかもしれないが。歳を経るごとに色素が落ち着いていったのか、今の仙は深海を覗いたように濃厚な青色の瞳を持っていた。
しかし、あの日の灰色はいまだ消えずに残っていたようだ。光の加減によっては青に隠れた灰色が顔を見せて、うっすらと微笑みながら波のようにスッと引っ込んでいく。
「な……ん………ぁ……!?」
ハクハク、と金魚のように口を開閉したかと思えば、見る間に整った顔を耳まで真っ赤にさせてパッと口許を押さえた。体質なのかあまり焼けない白い肌に赤色がよく映える。
「きッ……さ……ま、ァア!!?」
「ん?」
「寝言は寝てから言え!! このッ………バカっ!!」
からかわれたとでも思ったのだろうか。だが憤慨する傍ら、羞恥と微かな期待とその他色々な感情で焼き切れた思考では、気の効いた語彙が出てこなかったらしい。やけに幼稚な罵声を浴びせて、勢いはそのまま空気が漏れるように消えてった。
そんな仙の様子に噴き出しそうになったのを堪えて、零士は笑いそうになったのを誤魔化すためにその稚拙な罵倒に返答してやる。
「おまっ………ブフッ……ほんと、お前って罵倒のボキャブラリー少ねぇよな」
「うるさい!! 放っておけ!!」
「難しいだろうけど少しは罵倒の種類も増やしとけって。いざというとき役に立つから」
「やかましい!! 説教垂れ流している暇があるのならとっとと抱け!!」
「ふうん」
ヤケっぱちになったのか、仙は自分のスラリと長くて程良く肉の着いた脚を投げ出した。腰から腿にかけての曲線もそうだが、ふくらはぎから足首にかけての括れも素晴らしい。
そんな仙の投げやりな態度にカチンときたのか、ムッとした表情を作った零士。しかしそれは一瞬のことで、一拍の間を置いてから彼はニィ、と口の端を吊り上げる。
「…………」
「あッ、お前何を」
何も言わずに仙の左手首を持ち上げて、パクリと親指を咥える。細く見えるが関節が太い、長年厳しい訓練を受けてきた男の指だ。見かけ以上に皮膚は厚く堅い。今は汗で少ししっとりしていたそれを迷い無く口の中に迎え入れて、ちゅぱ、と吸ってやる。
「ひっ……」
途端に小さな悲鳴が上がったが、全て無視して今度は舌を這わせた。反射的に引き抜こうとしたのかぐっと腕に力が入ったが、その行為を咎めるために親指の付け根に軽く歯を立てておく。
「ぁ………」
漏れた吐息はひどく艶っぽかった。動きを止めて受け入れる姿勢を取った仙に満足した零士は、遠慮無くと言わんばかりに好き放題し始める。
じゅっ、と唾液と一緒に吸い上げたかと思えば、付け根から先端にかけてをねっとりと舌で擦り、爪の隙間を舌先でチロチロ擽って……
「ん……」
何かを連想させる舌の動きに下腹部を刺激されたのか、上擦った甘い声を漏らしながらモジモジと体をくねらせる。気に食わなかったのか、零士が仙の臍の辺りにもう一方の手を這わせた。そしてグッと腹筋に指を食い込ませて過敏な臍の辺りを刺激する。と、同時にトドメとばかりに口に含んだ親指を喉の奥まで招き入れて、キツく吸い上げ締め付けた。
「ひぅッ」
ビクッと体が跳ねる。その衝撃で仙の魔羅の先端、鈴口のすぼまりに貯まっていた先走りの液がトロッと溢れ、零士の手を汚した。達した訳では無い。先程よりも堅く育ってそそり勃っているだけ。仙がそうなってしまったのも仕方がないだろう。まるで尺八を思わせるような舌の動きに、思わずさせてはいけないと自戒していることを想像してしまったからだ。
「……本当は、ちゃぁんとここでやってヤりたいんだけどよぉ」
「ッ」
「お前、やったら絶対怒るだろ。だから代わりに……な」
ちゅ、と軽い水音を立てて仙の指を口から離しつつ、零士が話しかける。自身の唾液でテラテラと滑る仙の親指を綺麗にしてやろうと、見せ付けるように舌先でたっぷり舐めとる。目を細め、一瞬でも邪な想像をしてしまった仙の心の内を見透かすかのように囁く零士。
「れ、零士……ちがっ………私は………そんなつもりじゃ………」
「あ? 何を自惚れてんだ。俺ァお前のエムエーのための棒になる気ゃねえし、かと言ってお前の事を自分のハンドポンプのための道具扱いする気もねェよ」
「はぁ!?」
「要するに───バレたら終いな危険を冒してまで逢い引きしてんだ。折角なんだから、楽しめるだけ楽しまなけりゃ損だろ?」
つまるところ、これは零士の仙に対する奉仕では無いのだ。自分がやりたいことだから、だから零士はこうしている。ただそれだけだ。
「いっ……言いたいことは、判った………だけど、な………その…………」
目を白黒させながらもどうにかして言葉を探しだし……仙は少し困ったように形の整った柳眉を八の字にして、消え入りそうな声で呟く。
「………あんまり……期待、させないでくれ………急に来られると……その…………困る……」
思いがけない反応に思考が停止した。随分とまあ、かわいらしい反応ではないか。何かあったのだろうか。拗ねたのか、プイッとそっぽを向いてしまった彼の首筋に一筋の汗が、つつ……と流れるのを見て───ブツン、と何かが切れた。
「……お前って奴ァ…………」
「れい……?」
「煽るな馬鹿野郎ッ! クソッ……もう我慢できねえ」
カチャカチャ、と革帯の金属部品を外す音。
は? となった尾坂が確認する間も無く自分の急所に熱い塊がグイッと押し付けられた。
「は………れい……お前何を……」
「スタンした。とりあえず一発抜くぞ」
「あっ……待てっ! 何をする気だ!?」
「兜合わせ。皮、剥くぞ」
「コラッ! 待てといっ!? あっ───!!!」
突然の事に心構えもできないまま、零士の手が仙の性器で半分剥けたまま引っ掛かっていた皮を早急に──しかし、いやに慣れた手付きでツルンと剥いてしまった。
他人の手によって不意打ちで最後まで包皮を下げられた仙の体が、衝撃にビクビクと跳ね回って痙攣する。なにせ剥きたては感度が良い。僅かな空気の流れにも健気に反応させて、とろっと透明な蜜を押し出した。
「かっ………ぁ……」
「おい……? はぁ…相変わらずの舷門ゴー……なんだ、イってないのか」
「……そんなに………っ早く…イってたまるか………」
いい加減に人を早漏呼ばわりするのを止めろと涙目で睨み付けたが、どうやらそれは少々ばかりか加虐趣味を持っている零士にとっては逆効果になってしまったらしい。
「ほー……? 我慢は良くないと思うが」
「もう三十路の手前で若くないんだ………身が持たん……だろっ……お前のように絶倫でもあるまいし…………」
流石に苛めすぎたのか、仙は鼻にかかったようなか細い声で主張する。
零士の方は感心したかのように息を吐きつつニヤリと口の端を吊り上げて、剥きたてで感度が良くなっている仙のモノと自分の魔羅を纏めて握り込んだ。ちなみに負けず劣らず立派な大きさを誇る零士の魔羅は仙とは違って最初っから剥けていた。
──なんだか悔しい。チクショウ。
こんな所までお前は男として完璧なのかと文句の一つでも言おうかと口を開きかけて、しかし次の瞬間襲いかかった陰茎への直接的な刺激に飛び出しかかった嫌味は嬌声へと変わる。
「ちょっ……言ったそばからぁぁあっ!」
「暴れんじゃねえ、握り潰すぞ!」
お互いの鈴口を擦り付けあうかのように腰をグッグッと押し込め、トロトロと流れ始めた淫液をぬちぬちと絡ませ合う。
「くぅ、んっ! だから、そこに……あっ!? 突撃一番がっ、しまって、あるから!」
「ンなもん、着けている余裕があるか! うっ……突っ込む時ちゃんと着けてやるから!」
余裕がないのは本当の事らしい。珍しく上擦った声で切羽詰まったように言葉を詰めながら、零士は暴れる仙を力づくで抑え込んでなおも腰を押し付ける。
裏筋をずるずると押し上げられては潰され、敏感になった亀頭同士が擦れ合う。先に根を上げたのは仙だった。
「ひっ、ぅん……あっ……やぁ……ぁっ……ん………!」
目に一杯の涙を溜めながらぎゅっと唇を噛む。その間もひっきりなしに与えられる快楽に「いやいや」と首を左右に振る。まるで幼い子供のようだ。その様子を見た零士は必死になって余裕ぶるかのように口の端を吊り上げた。
「っあ、すごいなこれ……今度からこれでお前を黙らせることにするか」
「なっ…冗談じゃ……ひぃっ!!」
「はは………ほら、可愛い反応を返してくれんじゃねえか。いつもこれくらい愛想が良ければ、これで喘がせるのは止めてやるぜ」
青や紫などの痣が鮮やかに散らばる白い肌に玉のような汗が伝う。むしゃぶりつきたくなるのをグッと堪えて、零士はさらにヒクヒク震えながら溢れさせた二人分の蜜を潤滑剤代わりに片手で棹を二本まとめてすいて仙を追い込んでいった。
「うるさ……誰が、愛想なんか…振り撒いてやるか……っ! 誰にでも笑顔を振り撒くなんて、そんなの……っ……私の柄じゃ無い……!」
「嗚呼、わかってるわかってる。作り笑い浮かべて誰にでも良い子の顔をしているお前なんざ見たくもねえよ」
もうそろそろ陥落する。そう悟った零士は目鼻立ちの整った男前に性悪猫のような笑みを乗せて傲慢に宣告した。
「──お前が可愛い顔見せんのは、俺にベキられている真っ最中だけにしとけ」
「っ──────!!!」
グリッ、と裏筋がお互いのイイところを強く押し合って、頭の中が白く弾けた。
咄嗟に口を掌で押さえた事によって叫び声を零士に聞かせる事は無かったが、それでも腹にビシャッ!と飛び散った白濁を、快楽で果てた証を隠すことなどできない。
仙が余韻でビクビク震えていると、頭上で「くっ…」という切羽詰まった声。一瞬遅れて、再び熱いものが腹にかけられた。
「あっ……で、た……」
「………」
呆然として息を荒らげる仙を他所に、零士は擦り合わせていた二人の陰茎から手を離す。そして、今しがた仙の腹に散らした自分と彼の分の精液をにちゃにちゃと混ぜ合わせて掬い上げ、たっぷりとそれを指に絡ませてながら、つ……と仙のへその辺りをなぞり上げた。
「零士……ん、それで…慣らすのか……?」
「何か悪いか」
「丁子油……」
「この間それを使ったら、ジョンベラにバレそうになったんだよ」
どうやら前回、丁子油のキツい臭いを纏って艦に帰ったがために鼻の良い水兵に“誰と”一緒に夜を過ごしたのかバレそうになったらしい。
丁子油なんて、刀の手入れにしか使わないようなもの………今どきそれを購入する奴は、軍刀を持っている軍人くらいしかいない。だが艦上勤務の零士は一年のほとんどを海上で過ごすわけだから、短剣の手入れも当然艦の中で行ってしまう。ではなぜ零士は短剣を手入れしているわけでもないのに、刀の錆止めとして使われる丁子油の臭いを着けて帰ってきたのか?という話になったのだ。
その時は適当な言い訳を並べ立てて強制的に話を打ち切ったのだが、狭い艦内で噂は広まる。戦隊内どころか鎮守府内にまで拡散するのも時間の問題……と思ったのだが噂は艦外に広まることなくそのまま尻切れ蜻蛉で消えていった。というのも零士の艦の艦長が出てきて、にわかにざわめく部下たちをやんわりと制しながら丁子油の材料であるグローブという薬草の話をしてきたからだ。なのであれは丁子油の匂いではなく洋食屋で食べた夕食に使われた薬草の匂いということになったらしい。
「ったく、誤魔化すのが大変だったんだからな」
「ふぅん……それはご苦労だったな……っ…」
くちゅ…と聞こえた水音。零士が仙の後孔にたっぷり粘液を絡ませた指で探るようにくすぐっていた。
「他人事みたいに言うんじゃねえ。一々言い訳を考えるこっちの身にもなりやがれってん…だっ!」
「っ!」
不意に菊門に感じた圧迫感。次いで、指を鉤状に曲げて内の壁ぐるりと探られ、声にならない悲鳴が上がる。
「っ!!」
くちゅくちゅ、と粘液の滑りを借りて敏感な凝りを軽く撫で上げてやると、ひきつった呼吸の音が喉から響いてきた。仙は上体を仰け反らせて、喉仏を晒しながらビクビク震えている。
「あ?ちょっと柔らかいぞ……お前自分で弄っていたのか…?」
「…………」
訝しげに眉をひそめ、独り言として呟く。するとどうしてか仙の顔色がサッと青ざめた。身を強張らせ、唇を固く噛んでいる。
たとえ些細なものであってもこれから情を交わす相手の変化を見逃すようでは軍人などやっていない。だが零士はそんな仙の表情に思い当たる節があったのか、気付かなかったフリをしてやる事にした。
「……まぁ、そういうことにしといてやるよ」
ふっと、今までの暴力行為その他もろもろからは想像もつかないような優しい微笑みを仙に向ける。不意に見せた目の前の男のそんな表情に、ついうっかり見惚れてしまったせいで仙はすぐに気づけなかった。
そんな優しい表情を浮かべている裏で、目の前で自分の後孔に指を突っ込む男がいつの間にか自分の弱点を狙いすましていたことに……
「っ……あっ……はぁ……」
「仙……」
「ぅん………」
足首が零士の肩から下ろされて、くたりと脱力したままだったためかそのまま人形のように敷布団の上に横たわった。
息が上がり、心臓の音が耳元で聞こえているかのような錯覚に陥る。生理的なものなのか、涙が一筋流れて赤く腫れた頬に軌跡を描いていった。
その涙を拭うように、零士が唇で頬を流れる滴を丁寧に拭い取っていく。
(昔はもう少し………色が薄かったんだよなぁ)
フーッ、フーッ、と荒く息を吐きながら整えようとしている仙の、涙に潤んだ瑠璃色の瞳を間近で見ながらぼんやり考えた。なにせ十五年前の記憶なので所々あやふやになっているが、仙の瞳の色だけは鮮烈な記憶となって脳裏に焼き付いている。
───白く冷たい闇の中で、透明な水の下に埋もれた灰青色が煌めく光景が。
「っ……にを………考えてる…………?」
絞り出すような声。ハッと我に返った。一瞬、追憶の彼方へ飛ばしかけていた意識を引き戻し、零士は唇についた水滴をぺろりと舐め上げる。
ぐっと顔同士を近付けたまま回想に浸りかかっていたため、必然的に仙の瑠璃色の瞳をじっと見詰めながらしばし固まる事になったのだ。何も知らない相手から見れば、自分の瞳を見た瞬間に突然固まったように見えた事だろう。
普段から「美しい」だの「麗しい」だの散々言われている仙だが、実の所彼は自分の美貌を褒められることに無意識下で嫌悪感を持っていた。戸籍上の母とされる九条院夫人との間にあった確執が主な原因だが、一番の理由は───本当は汚れていない所など無いほど、穢れに穢れきった自分を称賛の眼差しで見られる事が恐ろしいだけだろう。
無言の視線、というのは彼にとっては自身の精神の奥深くまで刻み込まれた恐怖心を揺さぶり起こしてくる引き金だ。それを十二分に心得ていたはずなのに、という後悔から零士はバツが悪そうな顔をしながら答えた。
「ああ、うん。お前のことを考えてた」
「は?」
鳩が豆鉄砲を食らった時の顔とは正しくこのような表情なのだろう──というくらい綺麗な間抜け面をさらして仙が固まった。不意を突かれたにしては妙に整った「唖然とはこうあるべし」というお手本のような表情で、きょとんと零士を見詰めている。
(お………灰色)
瑠璃色の瞳が月明かりに照らされて、うっすらと反射する光の中に灰色が混ざっていたのに気付いた。昔は本当に今よりも色素が薄く、全体的に白かったような気がするのだ。自分の記憶の事だから、都合よく脚色しているかもしれないが。歳を経るごとに色素が落ち着いていったのか、今の仙は深海を覗いたように濃厚な青色の瞳を持っていた。
しかし、あの日の灰色はいまだ消えずに残っていたようだ。光の加減によっては青に隠れた灰色が顔を見せて、うっすらと微笑みながら波のようにスッと引っ込んでいく。
「な……ん………ぁ……!?」
ハクハク、と金魚のように口を開閉したかと思えば、見る間に整った顔を耳まで真っ赤にさせてパッと口許を押さえた。体質なのかあまり焼けない白い肌に赤色がよく映える。
「きッ……さ……ま、ァア!!?」
「ん?」
「寝言は寝てから言え!! このッ………バカっ!!」
からかわれたとでも思ったのだろうか。だが憤慨する傍ら、羞恥と微かな期待とその他色々な感情で焼き切れた思考では、気の効いた語彙が出てこなかったらしい。やけに幼稚な罵声を浴びせて、勢いはそのまま空気が漏れるように消えてった。
そんな仙の様子に噴き出しそうになったのを堪えて、零士は笑いそうになったのを誤魔化すためにその稚拙な罵倒に返答してやる。
「おまっ………ブフッ……ほんと、お前って罵倒のボキャブラリー少ねぇよな」
「うるさい!! 放っておけ!!」
「難しいだろうけど少しは罵倒の種類も増やしとけって。いざというとき役に立つから」
「やかましい!! 説教垂れ流している暇があるのならとっとと抱け!!」
「ふうん」
ヤケっぱちになったのか、仙は自分のスラリと長くて程良く肉の着いた脚を投げ出した。腰から腿にかけての曲線もそうだが、ふくらはぎから足首にかけての括れも素晴らしい。
そんな仙の投げやりな態度にカチンときたのか、ムッとした表情を作った零士。しかしそれは一瞬のことで、一拍の間を置いてから彼はニィ、と口の端を吊り上げる。
「…………」
「あッ、お前何を」
何も言わずに仙の左手首を持ち上げて、パクリと親指を咥える。細く見えるが関節が太い、長年厳しい訓練を受けてきた男の指だ。見かけ以上に皮膚は厚く堅い。今は汗で少ししっとりしていたそれを迷い無く口の中に迎え入れて、ちゅぱ、と吸ってやる。
「ひっ……」
途端に小さな悲鳴が上がったが、全て無視して今度は舌を這わせた。反射的に引き抜こうとしたのかぐっと腕に力が入ったが、その行為を咎めるために親指の付け根に軽く歯を立てておく。
「ぁ………」
漏れた吐息はひどく艶っぽかった。動きを止めて受け入れる姿勢を取った仙に満足した零士は、遠慮無くと言わんばかりに好き放題し始める。
じゅっ、と唾液と一緒に吸い上げたかと思えば、付け根から先端にかけてをねっとりと舌で擦り、爪の隙間を舌先でチロチロ擽って……
「ん……」
何かを連想させる舌の動きに下腹部を刺激されたのか、上擦った甘い声を漏らしながらモジモジと体をくねらせる。気に食わなかったのか、零士が仙の臍の辺りにもう一方の手を這わせた。そしてグッと腹筋に指を食い込ませて過敏な臍の辺りを刺激する。と、同時にトドメとばかりに口に含んだ親指を喉の奥まで招き入れて、キツく吸い上げ締め付けた。
「ひぅッ」
ビクッと体が跳ねる。その衝撃で仙の魔羅の先端、鈴口のすぼまりに貯まっていた先走りの液がトロッと溢れ、零士の手を汚した。達した訳では無い。先程よりも堅く育ってそそり勃っているだけ。仙がそうなってしまったのも仕方がないだろう。まるで尺八を思わせるような舌の動きに、思わずさせてはいけないと自戒していることを想像してしまったからだ。
「……本当は、ちゃぁんとここでやってヤりたいんだけどよぉ」
「ッ」
「お前、やったら絶対怒るだろ。だから代わりに……な」
ちゅ、と軽い水音を立てて仙の指を口から離しつつ、零士が話しかける。自身の唾液でテラテラと滑る仙の親指を綺麗にしてやろうと、見せ付けるように舌先でたっぷり舐めとる。目を細め、一瞬でも邪な想像をしてしまった仙の心の内を見透かすかのように囁く零士。
「れ、零士……ちがっ………私は………そんなつもりじゃ………」
「あ? 何を自惚れてんだ。俺ァお前のエムエーのための棒になる気ゃねえし、かと言ってお前の事を自分のハンドポンプのための道具扱いする気もねェよ」
「はぁ!?」
「要するに───バレたら終いな危険を冒してまで逢い引きしてんだ。折角なんだから、楽しめるだけ楽しまなけりゃ損だろ?」
つまるところ、これは零士の仙に対する奉仕では無いのだ。自分がやりたいことだから、だから零士はこうしている。ただそれだけだ。
「いっ……言いたいことは、判った………だけど、な………その…………」
目を白黒させながらもどうにかして言葉を探しだし……仙は少し困ったように形の整った柳眉を八の字にして、消え入りそうな声で呟く。
「………あんまり……期待、させないでくれ………急に来られると……その…………困る……」
思いがけない反応に思考が停止した。随分とまあ、かわいらしい反応ではないか。何かあったのだろうか。拗ねたのか、プイッとそっぽを向いてしまった彼の首筋に一筋の汗が、つつ……と流れるのを見て───ブツン、と何かが切れた。
「……お前って奴ァ…………」
「れい……?」
「煽るな馬鹿野郎ッ! クソッ……もう我慢できねえ」
カチャカチャ、と革帯の金属部品を外す音。
は? となった尾坂が確認する間も無く自分の急所に熱い塊がグイッと押し付けられた。
「は………れい……お前何を……」
「スタンした。とりあえず一発抜くぞ」
「あっ……待てっ! 何をする気だ!?」
「兜合わせ。皮、剥くぞ」
「コラッ! 待てといっ!? あっ───!!!」
突然の事に心構えもできないまま、零士の手が仙の性器で半分剥けたまま引っ掛かっていた皮を早急に──しかし、いやに慣れた手付きでツルンと剥いてしまった。
他人の手によって不意打ちで最後まで包皮を下げられた仙の体が、衝撃にビクビクと跳ね回って痙攣する。なにせ剥きたては感度が良い。僅かな空気の流れにも健気に反応させて、とろっと透明な蜜を押し出した。
「かっ………ぁ……」
「おい……? はぁ…相変わらずの舷門ゴー……なんだ、イってないのか」
「……そんなに………っ早く…イってたまるか………」
いい加減に人を早漏呼ばわりするのを止めろと涙目で睨み付けたが、どうやらそれは少々ばかりか加虐趣味を持っている零士にとっては逆効果になってしまったらしい。
「ほー……? 我慢は良くないと思うが」
「もう三十路の手前で若くないんだ………身が持たん……だろっ……お前のように絶倫でもあるまいし…………」
流石に苛めすぎたのか、仙は鼻にかかったようなか細い声で主張する。
零士の方は感心したかのように息を吐きつつニヤリと口の端を吊り上げて、剥きたてで感度が良くなっている仙のモノと自分の魔羅を纏めて握り込んだ。ちなみに負けず劣らず立派な大きさを誇る零士の魔羅は仙とは違って最初っから剥けていた。
──なんだか悔しい。チクショウ。
こんな所までお前は男として完璧なのかと文句の一つでも言おうかと口を開きかけて、しかし次の瞬間襲いかかった陰茎への直接的な刺激に飛び出しかかった嫌味は嬌声へと変わる。
「ちょっ……言ったそばからぁぁあっ!」
「暴れんじゃねえ、握り潰すぞ!」
お互いの鈴口を擦り付けあうかのように腰をグッグッと押し込め、トロトロと流れ始めた淫液をぬちぬちと絡ませ合う。
「くぅ、んっ! だから、そこに……あっ!? 突撃一番がっ、しまって、あるから!」
「ンなもん、着けている余裕があるか! うっ……突っ込む時ちゃんと着けてやるから!」
余裕がないのは本当の事らしい。珍しく上擦った声で切羽詰まったように言葉を詰めながら、零士は暴れる仙を力づくで抑え込んでなおも腰を押し付ける。
裏筋をずるずると押し上げられては潰され、敏感になった亀頭同士が擦れ合う。先に根を上げたのは仙だった。
「ひっ、ぅん……あっ……やぁ……ぁっ……ん………!」
目に一杯の涙を溜めながらぎゅっと唇を噛む。その間もひっきりなしに与えられる快楽に「いやいや」と首を左右に振る。まるで幼い子供のようだ。その様子を見た零士は必死になって余裕ぶるかのように口の端を吊り上げた。
「っあ、すごいなこれ……今度からこれでお前を黙らせることにするか」
「なっ…冗談じゃ……ひぃっ!!」
「はは………ほら、可愛い反応を返してくれんじゃねえか。いつもこれくらい愛想が良ければ、これで喘がせるのは止めてやるぜ」
青や紫などの痣が鮮やかに散らばる白い肌に玉のような汗が伝う。むしゃぶりつきたくなるのをグッと堪えて、零士はさらにヒクヒク震えながら溢れさせた二人分の蜜を潤滑剤代わりに片手で棹を二本まとめてすいて仙を追い込んでいった。
「うるさ……誰が、愛想なんか…振り撒いてやるか……っ! 誰にでも笑顔を振り撒くなんて、そんなの……っ……私の柄じゃ無い……!」
「嗚呼、わかってるわかってる。作り笑い浮かべて誰にでも良い子の顔をしているお前なんざ見たくもねえよ」
もうそろそろ陥落する。そう悟った零士は目鼻立ちの整った男前に性悪猫のような笑みを乗せて傲慢に宣告した。
「──お前が可愛い顔見せんのは、俺にベキられている真っ最中だけにしとけ」
「っ──────!!!」
グリッ、と裏筋がお互いのイイところを強く押し合って、頭の中が白く弾けた。
咄嗟に口を掌で押さえた事によって叫び声を零士に聞かせる事は無かったが、それでも腹にビシャッ!と飛び散った白濁を、快楽で果てた証を隠すことなどできない。
仙が余韻でビクビク震えていると、頭上で「くっ…」という切羽詰まった声。一瞬遅れて、再び熱いものが腹にかけられた。
「あっ……で、た……」
「………」
呆然として息を荒らげる仙を他所に、零士は擦り合わせていた二人の陰茎から手を離す。そして、今しがた仙の腹に散らした自分と彼の分の精液をにちゃにちゃと混ぜ合わせて掬い上げ、たっぷりとそれを指に絡ませてながら、つ……と仙のへその辺りをなぞり上げた。
「零士……ん、それで…慣らすのか……?」
「何か悪いか」
「丁子油……」
「この間それを使ったら、ジョンベラにバレそうになったんだよ」
どうやら前回、丁子油のキツい臭いを纏って艦に帰ったがために鼻の良い水兵に“誰と”一緒に夜を過ごしたのかバレそうになったらしい。
丁子油なんて、刀の手入れにしか使わないようなもの………今どきそれを購入する奴は、軍刀を持っている軍人くらいしかいない。だが艦上勤務の零士は一年のほとんどを海上で過ごすわけだから、短剣の手入れも当然艦の中で行ってしまう。ではなぜ零士は短剣を手入れしているわけでもないのに、刀の錆止めとして使われる丁子油の臭いを着けて帰ってきたのか?という話になったのだ。
その時は適当な言い訳を並べ立てて強制的に話を打ち切ったのだが、狭い艦内で噂は広まる。戦隊内どころか鎮守府内にまで拡散するのも時間の問題……と思ったのだが噂は艦外に広まることなくそのまま尻切れ蜻蛉で消えていった。というのも零士の艦の艦長が出てきて、にわかにざわめく部下たちをやんわりと制しながら丁子油の材料であるグローブという薬草の話をしてきたからだ。なのであれは丁子油の匂いではなく洋食屋で食べた夕食に使われた薬草の匂いということになったらしい。
「ったく、誤魔化すのが大変だったんだからな」
「ふぅん……それはご苦労だったな……っ…」
くちゅ…と聞こえた水音。零士が仙の後孔にたっぷり粘液を絡ませた指で探るようにくすぐっていた。
「他人事みたいに言うんじゃねえ。一々言い訳を考えるこっちの身にもなりやがれってん…だっ!」
「っ!」
不意に菊門に感じた圧迫感。次いで、指を鉤状に曲げて内の壁ぐるりと探られ、声にならない悲鳴が上がる。
「っ!!」
くちゅくちゅ、と粘液の滑りを借りて敏感な凝りを軽く撫で上げてやると、ひきつった呼吸の音が喉から響いてきた。仙は上体を仰け反らせて、喉仏を晒しながらビクビク震えている。
「あ?ちょっと柔らかいぞ……お前自分で弄っていたのか…?」
「…………」
訝しげに眉をひそめ、独り言として呟く。するとどうしてか仙の顔色がサッと青ざめた。身を強張らせ、唇を固く噛んでいる。
たとえ些細なものであってもこれから情を交わす相手の変化を見逃すようでは軍人などやっていない。だが零士はそんな仙の表情に思い当たる節があったのか、気付かなかったフリをしてやる事にした。
「……まぁ、そういうことにしといてやるよ」
ふっと、今までの暴力行為その他もろもろからは想像もつかないような優しい微笑みを仙に向ける。不意に見せた目の前の男のそんな表情に、ついうっかり見惚れてしまったせいで仙はすぐに気づけなかった。
そんな優しい表情を浮かべている裏で、目の前で自分の後孔に指を突っ込む男がいつの間にか自分の弱点を狙いすましていたことに……
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